で、京都の続き。土曜の午前中に大徳寺へ行き、昼食を挟んで妙心寺へと回る。今回はミホミュージアムに遠出したこともあり、そのままレンタカーを借りている。中心部もないので、道も空いておりスムーズだ。
途中、金閣寺近くのバス停は相当ごった返しているが、妙心寺は駐車場も無料ですぐに止められる。
この寺に関心があったことの1つは「瓢鮎図」が所蔵されていることだ。「瓢箪でナマズをおさえる」という図で、「ひょうたんなまず」という言葉もあり、「とらえどころのないこと」を指す。昔はそういう言い方をする人もいたように思うが、今では聞くことも少ない。
この作品は絵自体もユニークだが、上の方に多くの人の画賛がある。この辺りを詳しく研究した「瓢鮎図の謎」という本がたいそう面白かったこともあり、一度来たいと思っていた。ただし、オリジナルは京都国立博物館に寄託されており。こちらにあるのは模写だ。
ということもあって、庭に向けて無造作に掲げられている。模写とはいえ、高名な作品だし、もう少しどうにかならないのかと少々残念ではある。
妙心寺は、特別公開だけで3か所あり、その前に通常公開している法堂と明智風呂と呼ばれる浴室に行く。法堂の天井画は狩野探幽の雲龍図で、見る角度によって昇っていくようにも、降りてくるようにも感じられる。
浴室は光秀の菩提を弔うためにつくられた。いわば「サウナ」のような作りになっているが、僧の修行の場でもある。
この後、天球院、霊雲院、玉鳳院と回ったが、圧巻だったのは天球院にある狩野山楽・山雪の障壁画だ。こちらも保存の関係で、段々と複製に置き換わりつつある。一部はオリジナルがそのまま公開されているが、それも今回の公開で最後になるという。
色合いも鮮明で、構図も力強く華がある。今回はいろいろと障壁画を見たが、この天球院の部屋は今でもくっきりと浮かんでくる。
妙心寺は広大だが、北の門へと抜けていく径は穏やかで心地よい。このあたりの塔頭の屋根には狛犬が鎮座していて、青い空に気持ちよく泳いでいるように見える。
相当歩くので、いったん北総門を出て近くにあるカフェで休む。普段はあまり甘いものは食べないのだが、アイスクリームの入ったシュークリームで一息ついた。隣には三重の方から来たという女性3人組にマスターが話しかけているが、すぐに笑いをとっていくあたりが関西らしい。
この日は、2つの寺を見ただけだが十分に堪能できた。どこにもボランティアガイドがいるので、ゆっくり話を聞くことになる。こうしたペースの京都が、ちょうどいい歳になってきたようだ。
翌日は相国寺も行ったので、臨済宗の禅寺ばかりを回ったことになるが、どこも人は少なく、週末でも落ち着いて歩ける。
この日の夜は、穴子の専門店へ。翌日は早いうちから城南宮で梅を見る予定。