瞬間的に湯がグツグツと沸き立ったかと思ったら、何か妙なものが入っていたのかヤカンごと爆発してしまった。「育休議員」をめぐる騒動はまさにそんな感じだ、残ったのは「やっぱ、ああいうヤカンってどうよ」という印象。つまり、育休を求める男性にとってはロクなことにはなってない。
じゃあ、実際世論的にはどうなんだろうか。と思って調べたら賛否について結構前から調べているデータがあった。博報堂生活総研の「生活定点」だ。「男性でも、育児休暇を取るべきだと思う」という項目に対して、肯定的に応えた人の割合である。
隔年で偶数年にレポートが出るので、この最新データは2014年だ。
ザックリいうと、女性はどの年代も40%を超えていて、一番高いのは50代の47.1%という数字だ。
一方で、男性は全体に低く年齢が上がるにつれて、さらに低くなる。そして、20代30代でも40%をわずかに下回っている。
女性の50代が高いのは、本人たちが雇用機会均等法以前か、施行直後の世代であり「頑張りたくでも、頑張れなかった」ということもあるだろう。また、仮に娘がいればちょうど働き始めたり、結婚を検討している人もいるだろう。いずれにせよ、女性は世代を超えた「応援体制」ができている。
それに比べて、男性の50代以上はいわゆる「岩盤」状態だろう。男性の育児休暇の壁のありかは浮かび上がってくる。
この単年度の性年代別データは、まあ理解できるのだが、意外な数字もあった。時系列の数字だ。
全体で見ると、男性(グリーン)は上昇傾向にあり、女性(ピンク)も微増だ。ところが20代については、男性(黄色)も女性(水色)も低下傾向にあるのだ。長期的に全体的な上昇傾向を支えているのは40代以上で、男性の50代以上も長期で見れば少しは理解が進んでいるのである。
なぜ、最も若く当事者になる可能性が高い20代で低下しているのか?女性については30代も同様の動きを見せている。
ここから先は推測だけれども、これが実際の職場の空気なのではないだろうか。40代以上は設問通りに「べき論」で答えるが、20代は「可能か?」と考えてしまう。「いや~無理でしょ」ということで、あきらめが先に立っているのかもしれない。
あるいは、男女の役割について保守的な発想が増えている可能性もある。他のデータを見ると、その可能性も否定できない。
というような空気感の中での、あの事件である。男性の育休が市民権を得るのはもう少し時間がかかるかもしれない。