2016年03月アーカイブ
(2016年3月19日)

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51HrBdJzcOL今世紀に入った頃から、世界史の「仕組み」を俯瞰するような本がいろいろと出ているように思う。

その理由はいろいろと考えられるが、やはり冷戦の終結は大きいのではないだろうか。社会主義に一定以上の可能性を感じていた時代には、マルクス史観の影響力も大きかった。その呪縛が解けて、もう一度歴史のダイナミズムを研究して、かつ一般読者にもわかりやすく書いた本が、欧米発で生まれている。

一方で、そうした本の中身を若い人に紹介すると、結構興味を持つ人が多い。情報が溢れる中で、「そもそも」の話を知りたい欲求も強いのではないだろうか。

そうした仕組みの観点から、斬新な視点を提示したのはジャレド・ダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄』(草思社)だろう。日本版は2000年の発刊だから、ある意味では、定番の本でもある。賛否を含めて、まず一読してみる価値はある。文庫になっていて、kindle版もあるので求めやすいのも魅力だ。

「16世紀にピサロ率いる168人のスペイン部隊が4万人に守られるインカ皇帝を戦闘の末に捕虜にできたのはなぜか?」

そのような、征服と被征服の原因は「銃と軍馬」にあるという。では、その差はどこから生まれてきたのか?

ここで、著者が最も重視するのは地形や生態などの「環境の差」だ。たとえば、食糧生産の伝播は東西には早く伝わるが、南北には遅い。このような差が、長期的には文明の差になっていく過程を解き明かす。

ただし、すべてを環境に帰していくような考え方には、当然異論もある。 >> いま世界史の本がおもしろい①の続きを読む