主義なき時代の政党名の悩ましさ。
(2016年2月26日)

カテゴリ:世の中いろいろ

民主党が党名を変えるかもしれないという。

ううむ。維新側はそういう主張になるだろうが、参院選までに浸透させることができるのか、というよりもそもそも新党の名前って相当難しくなってるのではないか。

伝統的な政党名は、「自由」「民主」「共和」「社会」「共産」のような感じだったが、日本で変化があったのは1993年の細川政権の頃からだろう。「日本新党」「新生党」などが誕生して、その後はもういろいろである。

民主党の安住淳氏が「惑星とか新幹線のような名前はもういい」と言ったそうだ。たしかに「のぞみ」「かがやき」的なのはもういいだろう。「惑星」というのはよくわからないけど、「ジュピター」とかイメージしたのか。まさか「ビーナス」や「サターン」ではないと思うが。

政党名が揺らいでいるのは日本だけではない。僕の記憶ではイタリアの”Forza Italia”(フォルツァ=頑張れ)辺りからではないかと思うが、これも1994年。最近ではスペインでPodemos(英語のWe canの意味)という左翼政党が人気を集めているという。

なんでこうなったのか?とても単純に考えると、政治の世界で「主義」が消失したからだろう。クラシックな政党名は、そのあとに「~主義」とつなげることができるものが多かったのだ。

ところが冷戦が終わり、社会主義や共産主義がああいうことになってしまった辺から迷走が始まった。もはや新たな主義などない。そうなると、拠り所はなくなっている。

かくして「大地」「日本のこころ」とかだと、もはや有機野菜の食堂のようになってしまうわけだ。

ううむ。何か手がかりはあるんだろうか。

「主義」を政党名にしない場合、よく観察すると「大切にしたい対象」を政党名にするということもある。英国の「労働党」や、ドイツなどで一定の勢力をもつ「緑の党」のようなケースだ。

もし名前を変えるなら、そのくらいの分かりやすさの方がいいだろうし、失笑されるくらいなら現行でいいのではないか。

あと1つ気にするべきは、英語名だろう。「維新の会」は、当初restorationという言葉を使っていたが、これだと「復古」の意味合いが強まるので、現在の「維新の党」はinnovationを使っているようだ。それもどうかという感じだが、まだいいのだろう。

というように考えても、あまり党名をいじらない方がいいと思うし、変えるのであれば「大事にしたいこと」を明らかにできるような変更にした方がいいのではないか。

僕は特に支持政党があるわけではないが、どんな状況下でも「真っ当な野党」が存在することが、議会政治が成立する必要条件だと思うので、ちょっと書いてみた。

今日は、2月26日。歴史の大きな転換点となった日だ。