とても面白い本だと思うのだけど、タイトルがちょっと捻じれている。「読まなくてもいい本」が列挙されているわけではなく、「読むべき本」を5つの分野にわたって解説しているのだ。
この5つのカテゴリーだけを読めばいいのか?という突っ込みは誰でも考えると思うんだけど、少なくても読んだ方がいいカテゴリーだとは思うので、自分の体験も交えて覚え書きをとどめておこう。
この本のブックガイドは、多くの本が紹介されているが、そこにないものも含めて、自分が読んだ本についても書いておきたい。
まず最初は「複雑系」だ。ワードロップの、『複雑系』が邦訳で出版されたのは、1996年に、僕は会社の研究開発セクションにいた。既に英語版をチェックした先輩がいたのか、すぐに話題となったが、それなりに手ごわかった。
「複雑系って、つまり何なんですか?」
「そう簡単に説明できないほど、複雑であることは確かだと思うよ」
そんな会話がすぐ広まったのだが、いろいろと教えてもらった記憶はある。
次は「進化論」で、これについては、個人的な関心もあって、結構いろいろ読んだ。全体を俯瞰するのには『ドーキンスVSグールド』などもいいのではないだろうか。
そして「ゲーム理論」に関しては、キューバ危機とナッシュ均衡、行動経済学からビッグデータまで広く扱われる。思い起こすと、ゲーム理論の基本は大学のゼミで学んだ。この章のブックリストは多岐にわたるが『ファスト&スロー』は結構印象的だ。 >> 【書評】できれば25歳くらいまでに読むのが吉。『「読まなくていい本」の読書案内』の続きを読む
クックパッドが内紛だそうだ。創業者が現在の経営陣交代を要求したようで、どうやら多角化に不満を持っているという。
で、ここから先は結構料理をつくる1ユーザーとして書くけれど、そもそもクックパッドで、おいしい料理できるんだろうか。というのも、もうしばらくクックパッドは見ていないのだ。料理レシピを検索するときには「-クックパッド」、つまり「マイナス」をつけることにしている。
クックパッドも、以前は見ていたし参考にしたこともあった。しかし、今の状況はもう収集がつかない。とにかく多すぎる。レシピの質も玉石混淆で、じゃあ絞り込めばいいのだろうが、実際は玉石石石石石混淆くらいの感じで、石を取り除くのが面倒になってしまった。
一応ログアウトしたうえで、グーグルで「カリフラワー」と入力するとウィキペディアより上位にクックパッドが来る。「豚」だとウィキが上だが、「豚肉」ならクックパッドが最上位。
そして、本日現在カリフラワーなら3,753品。ブロッコリーなら44,290品で、豚肉なら152,669品。じゃあ、どうしてくれようというわけで「人気順」で見たければ、会員登録ということになる。
ただし、それでいいレシピにたどり着けるか?というと、そうとも限らないだろう。
ネットでレシピ検索をするようになって、料理のやり方はたしかに変化したと思う。かつては「作りたい料理」が先にあって、それを探した。「酢豚」とか、「カレイの煮つけ」などの料理名から入った。 >> 料理するなら「マイナス・クックパッド」でしょ。の続きを読む
シカゴ交響楽団 日本公演
指揮:リッカルド・ムーティ
2016年1月18日(月)19:00 東京文化会館 大ホール
ベートーヴェン/交響曲第5番 op.67 ハ短調
マーラー/交響曲第1番 ニ長調『巨人』
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開演前から、妙な緊張感が漂っていた。前夜からの雪もあって、客は早めに到着している。ムーティがシカゴ響音楽監督就任後の初来日で、一曲目がベートーヴェンの5番。
そして、タクトが振り下ろされる。
(あ、合ってない…)
有名な動機が、モゴモゴとした響きになる。ちょっとオケが暖まっていなかったのか、リピート後はシャキッとしてきて、2楽章はたっぷりと弦が歌い、スケルツォの低弦は豊かに響いて、ティンパニーがジワジワくるのだが、ここまでの印象は「ややゆったりと室内楽的なベートーヴェン」だった。
ところがフィナーレに入ると、「速ッ」と心の中で叫ぶ。ああ、さすがムーティ。ここまでの音楽が抑制的だったのは、この一瞬の解放のためだったのか。ベートーヴェンの5番は、冒頭こそ有名だがそうそう鳴るわけではない。ところが、フィナーレでトロンボーンが加わり、ティンパニーとトランペットが要所を締めて、弦の内声を強めると一気に迫ってくる。一気に畳み込んで、終結へ。これだけで、いい疲労感が残る。 >> 圧巻の千両役者、ムーティとシカゴ響。の続きを読む
テレビを持たない人が、若年層を中心にジワジワ増えているという話を耳にすることは多いと思う。僕も大学の講義では、毎年メディア接触の状況を尋ねているが、一昨年ほど前から「テレビを持っていない」という学生がチラホラと出てきた。そう答えるのは、1人暮らしである。
で、最近は「将来は買うか?」と訊ねることにしているのだが、面白い傾向がある。だいたい「う~ん」と唸ってしまうのだが、「もし結婚したら?」と言うと、「あ、買いますね」という。
これって、テレビが白物家電になっているようなものかもしれない。1人暮らしだと冷蔵庫はあるけれど、洗濯機はなくてコインランドリーで済ませる人もいるし、調理家電も最低限のものしかなかったりする。
それでも、結婚すればいろいろ揃えるんだろうな~という想像の中で、「テレビ」がその中に入ってくるのだろう。必要な情報を得たり、コンテンツを視聴するなら代用品が十分にある。ただ、家庭の中にはテレビがあるんだろうな、というイメージになるわけだ。
かつては、「黒物」という言い方もあり、テレビやビデオがそう呼ばれたが、最近は聞かない。「白物」か「デジタル」か、という感じだ。テレビの普及率が若年層でジンワリ落ちる一方で、ブルーレイなどはさらに低い。「黒物」と言う領域がなくなっているのだ。 >> 「白物家電」になったテレビ。の続きを読む
身延からバスに乗って、1時間半。奈良田温泉の宿は一軒だけである白根館。トイレと洗面は共用だが、最近はこういう宿に泊まることが多い。学生時代の合宿などはそんなものだったけれど、気がつくとトイレ洗面付の部屋が当然になってきた。
ただ、実際に泊まると大して不便ではない。食事は広間だが、こういう宿も多い。団体の宴会も減少したこともあるのだろうが、旅館としては部屋食よりも人手がかからないし、客としてもできたての料理をいただける。一方で、部屋食の旅館は小さい子どものいる家族などにはいいだろうし、そうした棲み分けも進むのだろう。
一泊二食でこのような価格というのは考えてみれば、相当ありがたい。というか温泉もついて100ドルでこれだけ楽しめるというのは先進国ではなかなかないだろう。海外の旅行者が日本の物価、とりわけ外食に割安感を感じるというのはよくわかる。
こうした小さな宿を予約するときに僕は電話で予約する。というかネットの予約サイトは使わない。宿を探して空室検索などは使うけれど、予約は電話だ。
というのも、こうした予約サイトは成約時にそれなりの販売手数料をとるわけだが、僕は自分の払ったお金はすべて宿に渡したいと思う。R社やR社に、おカネを払うくらいなら、少しでも宿に払いたい。現金だけの支払いというのも、納得している。小さな規模で良心的な価格設定をしているのだから、手数料負担を避けたいのはよくわかる。V社やM社に……(以下略) >> 【旅の話】100ドルの極楽、奈良田温泉。の続きを読む