2016年01月アーカイブ
(2016年1月31日)

カテゴリ:見聞きした

今年最初の舞台は、3日の名IMG_1259古屋能楽堂から。「翁」から新年をスタートできるといのは、いかにもありがたい。初めて観たのだが、天下泰平・五穀豊穣を祈る舞は、どこか横綱の土俵入りを連想させる。

名古屋能楽堂はゆとりのあるつくりで、正面舞台の鏡板は「若松」。能舞台は普通「老松」なのだが、ここでは依頼を受けた杉本健吉氏が若松を描いた。当然のように物議を醸して、結果として老松の鏡板も作られて、1年おきに使用されるようになったそうだ。(ただいろいろいな方のブログを参照すると、今年は老松のようなのだが正確な運用はわからない)

この話を聞いた時には「なんと保守的な」と思ったのだが、実際に観てみるとどこか違和感がある。それは、この絵が天に向けたベクトルを持っていることが理由なのではないかな。老松の水平のベクトルが舞台に安定感をもたらすのとは対照的だ。

正月気分が残る7日は、新春浅草歌舞伎。近年は尾上松也を筆頭格に演じられている。

「三人吉三巴白浪」から「土佐絵」の舞、中入りを挟んで「与話情浮名横櫛」より源氏店の場。妻の友人が「宝塚の新人公演みたいなもの」と言っていたらしいが、よくわかる。あまり巧拙を語るのも野暮になるので、まあ正月の縁起物と思えば十二分に楽しい。毎年観ていれば、一人ひとりの成長ぶりが感じられるて、それも一興だろう。

冒頭の米吉の挨拶は、大学を「自主的に卒業した」と笑いをとってから「残念なことに、いま流行りの“卒論”を書けませんで」で爆笑。いつも思うのだが、歌舞伎役者の俗っぽさのセンスっていいんだよね。 >> 最近の舞台から~【2016年1月】の続きを読む