2016年01月アーカイブ

「させていただきます」という言葉は、結構前からあるようだけど少し前の「国語に関する世論調査」でも取り上げられて、NHKの番組でも敬語講師という方が解説してる。

まあいろいろ見ても肯定的な論調は少ないんだけど、ここ5年くらいで「変じゃないの?という話が増えている。

僕も、基本的には推奨しない。「プレゼンテーションを始めます」で何の問題もないと思うのだ。

ところが、この言葉については遥か昔にとある方がバッサリと斬っている。詩人の大岡信が新潮社の「最新日本語読本」というムックのインタビューでこんな風に話しているのだ。

『慇懃無礼。相手との接触に間を置こう、トラブルを避けようというおよび腰の姿勢が感じられます。』また「したいと思います」についても、次のように言う。

『さらに「思います」を加えるのは、決断を避けているわけで、他人に立ち入られたくない、ナメられたくない、責任をとりたくない心理がそこに働いている』

つまり「させていただきたいと思います」は最悪ということになる。

このインタビューは1992年、つまりほぼ四半世紀前のものだ。言葉に敏感な人は、その頃から気にしていたのだなと思う。

つまり「最近の風潮」というよりも、根の深い話なのだ。

と思っていたら、最近驚いたことがあった。実はこの表現に司馬遼太郎が言及していたのだ。『街道を歩く・24』の「近江の人」という節に、この表現についての言及がある。 >> 「させていただきます」問題とNHK。の続きを読む