ヴィトゲンシュタイン 著 山元一郎(訳) 『論理哲学論』 中央公論新社
もう、本の紹介でもなんでもない感じになってきているが、「トイレに置くべき一冊」について書いて、今年の締め括りにしようと思う。
現在、我が家のトイレに座った時に目にするのは写真のような光景だ。そう、ヴィトゲンシュタインの「論考」である。(私の持っている邦題は「論理哲学論」だけど)ちなみに、左側の壁には江戸市中の古地図が貼ってある。昔は世界地図や歴史年表を貼っていたこともあった。
自分はトイレの滞在時間が短いので、本を読もうと思うことはあまりない。ただ、もしそういう時には、どこから読んでも、どこで読み終わってもいい本がいいのではないか。そう考えると、全体が哲学的命題の断章で、いわゆる「箇条書き」で書かれている同書は適しているのではないかと思ったのだ。
このことを先日facebookに書いたら、「ぜったい便秘になる」という声もあったが、驚いたことに同じことしていた方もいた。家族の方からは不評だったそうである。
とはいえ、この本はトイレに向いているのではないかというのは、それなりの理由がある。
トレイに座って、本書を開いてみよう。
本編は、こうした文章から始まる。
1 世界とは、その場に起きることのすべてである。
それ自体、だからどうしたと思うかもしれない。
そして、するべきことをして、水を流す。この時、何ともいえないホッとしたような、それでいて空虚な気分になる。
そして、続きに目を走らせる。
1.1 世界は、事実の総体であって、事物の総体ではない。
ううむ。やっぱりこの命題の意味を直感的に理解するための空間として最適なのは、トイレではないかと思うんだよね。
まあ、問題はトイレに置いている限り、この先まで全然進まないことなんだが。
いずれにせよ、一度格闘してみる価値はあるかもしれない。
というわけで、今年もいろいろとお世話になりました。よいお年を。