クリスマスというのは、夫婦二人の家庭にとっては「つかみどころ」がないイベントでもある。若いうちであれば、ツリーのきれいなところに行ったりしたが、最近は馴染みの和食や鮨の店に行くことが多い。
24日は近所の和食屋だったが、似たような年代の夫婦や母娘でにぎわっていた。欧系料理の店は、特別メニューになることが多く、そういうのに背を向けているような年代の人が多い。
それにしても、クリスマスというの日本人の生活にとって不思議な位置づけになっている。
「子どもがプレゼントをもらう」という日であることは、結構前から今にいたるまで続いているが、「カップルで過ごす」あたりは相当怪しい。
大学のサークルは1月初旬に毎年コンサートをしていたので、クリスマスの時期は追い込みだったので、あまり意識していなかった。何となく覚えているのは、4年の頃に空気感が変わっていたことだ。練習の後に居酒屋に行ったとき、一年生の男性が「クリスマスですよねぇ」と、疑問を呈すような口ぶりだったのが印象的だ。
まさに、バブルの前夜で、それ以降どうなったのかは古文書や長老の伝承を聞けばわかるだろう。
ただし、クリスマスが戦後70年の間でどう変化したかというような「考古学」的なまとまった研究はないように思う。
ちなみに、クリスマスは「キリストの誕生を祝う日」だけど、「キリスト」の誕生日ではない。いろいろな説があるけれど、冬至近辺の異教徒の祭りに合わせてキリスト教陣営が当ててきた、つまり「裏番組つぶしのキラーコンテンツ」だったとも言われている。
まあ、経緯はともかく結果としてクリスマスは冬至に近い。つまり、もっとも一年で最も日が短い時期になるわけで、勢い家路を急ぎたくなり、人恋しくもなるだろう。緯度の高い欧州では、15時過ぎには暗くなるという。
そして、日本の年末年始は慌ただしい。12月20日頃まで忘年会があり、その後は年末年始となる。その中間のクリスマスというのは、帰省もなく「ゆっくりと人と過ごす」にはまあちょうどいいのだ。
25日に電車の中でカップルの会話が聞こえたんだけど、それは鍋の算段だった。
「そうだな~、白菜はまだ結構あるし」とか話している。これから、彼の家で食事をするのだろう。
そして、ふと思ったのは、「これって、冬至祭りなんじゃないか」ということ。まあ、一番夜の長い日だし、カップルでも友人でも「親しい人どうしでゆっくりしよう」という日。騒ぎたい人は、ハロウィンへどうぞという手もあるし。日本のクリスマスは、中世の異教徒の祭りになっているのかもしれない。
そして、気になるのが相変わらず外国人が多いことだ。それも、西洋人も結構いるんだけど、彼らはクリスマスに日本に来るんだろうか?
と思って調べたら、どうやら日本は「クリスマスを避けられる国」のナンバー1という記事があった。skyscannerというサイトが、2014年に掲載している。西洋でもクリスマスが煩わしい人は多いようで、じゃあどこがいいのかというと1位が日本。以下、サウジアラビア、アルジェリア、イラン、タイで、北朝鮮も入ってる。
だったら日本は「あり」かもしれないし、それは日本のクリスマスの新しい光景になるのかも。