いまさら、という感じの話題ではあるけれど、テレビの「日本礼賛番組」というのは、どういう人が見ているのだろうか。とりわけ気になるのが外国人が「ニッポン・すごい」という手のものだ。
テレビだけじゃなくて、書籍にも目立つしネットでも多い。ただい、自分の身の回りではそうした話題になることは少ないし、そういうコンテンツを好きな人もあまりいない。
この間、友人と話していてふと思ったんだけど、どうやら「外国人“全般”にどう思われるか」ということには、興味がない人が多い。
一方で、仕事の中では外国人と接している人が多い。自社の取引先だったり、職場の上司や仲間だったり、あるいは製品のユーザーだったりと濃淡はさまざまだが、日常的に外国人とつき合いがあるわけだ。仕事ではなくても、外国人の友人がいる人も多い。
だから、「外国人が日本をどう見ているか」という一般的な話よりも、「目の前にいる外国人が自分をどう見てるか」ということがよっぽど大事なんじゃないか?という話になった。
まぁ、そりゃそうだ。
お客様であれば、「お買い上げいただけるか」が大切だ。職場であればいかにスムーズに協働できるか、ということになる。友人であれば楽しく付き合いたい。仕事からスタートして、プライベートで仲良くなれば、ずっといい関係を維持したいと思うだろう。
そういう人にとって、見ず知らずの外国人に「ニッポン、すごいね~」と言われるよりも、現実的に目の前の外国人とどうやっていくかの方が遥かに大切だ。
そして、もし外国人相手の仕事でしくじった時に、テレビの外国人に「すごい~」とか言われたって全く嬉しくないだろう。
つまり、「リアルな外国人」が身近にいる人にとって、あの手のプログラムは「耳心地のいいお話を集めたもの」にしか見えなんじゃないかな。
ああ、だとすればあの手の日本礼賛番組を見ている人は、「知り合いに外国人がいない人」なんだろうな、と思ったりもする。
博報堂生活総研の「生活定点2014」の最新データには「外国人の友人がいるか?」という問いがある(グラフ参照・単位は%)
すると男女とも見事に年代別の傾向が出てくる。30~40代はあまり変わらないが、20代がグッと多くて60代は少ない。エリア別に見ると首都圏より阪神圏が低いので、そこから推測をすれば、まあ「都市部の若い人」は外国人の知り合いが多く、「地方の高齢者」は少ないということか。フツーに推測すればそうなるだろうけどね。
で、だとすれば地上波の世帯視聴率を支えている年配の人には「日本礼賛」は受けるだろうし、日々外国人と接している人には「どうにもむず痒い」番組になるんじゃいだろうか。
テレビの話になるとよく出てくるのが「現役世代が見て満足できる番組がない」ということだ。逆に考えると「地方都市で、知り合いは近隣者が多く、難しい話は嫌い」という人をターゲットにすれば世帯視聴率はそこそこどうにかなるんだろう。考えてみれば、これは中学生以下と高齢者に当てはまりやすい。
あらためてゴールデンタイムの番組表を見れば、「あぁ、わかって作ってるんだな」と思うけど、ホントにそれでいいのかなぁ。