[読んだ本]チャールズ・ディケンズ著 村岡花子(訳)クリスマス・キャロル 新潮文庫
相当に季節はずれなんだけれど、きっかけは先日書いた『帳簿の世界史』の中に、本作についての言及があったので気になったから。有名なストーリーで映像化もされているし、読んだ気になってはいるけれど、きちんとした翻訳でじっくり読むのは初めてだと思う。
本の紹介などを読むと、まあすごく短く言い切れば、「聖夜にドケチが改心する話」として捉えられているようだ。そして、それを案内する狂言回しが「幽霊」というあたりが、まあ話の仕掛けとしてはおもしろい。
でも、この主人公のスクルージという吝嗇家の言葉は、他人事のように笑って読み過ごせるわけでもない。
冒頭の方で、この吝嗇家が貧困者への寄付を求められるシーンがあるのだけど、彼はこんなことを言って断る。
「私はクリスマスを祝いはしない。なまけ者が浮かれ騒ぐためにびた一文出しはしない。私は監獄や救貧院のために税金を出してます――その税金だって相当なものになってますよ。暮せない奴はそっちへ行けばいいですよ」そしてこう続ける。
「死にたい奴らは死なせたらいいさ。そうして余計な人口を減らすんだな」
こんな考えを公言する人は、実際にはなかなかお目にかからないかもしれない。でも、ネット上の匿名のご意見では、この手の話が溢れている。 >> 【夏の本祭り】相当季節外れの『クリスマス・キャロル』の続きを読む