今年の就活は相当ややこしいことになってて、内定をとって「やっと講義に出られます」という4年生もいれば、これからが本番という連中もいる。一方で、3年生は早くもインターンということで、相談にやってくる。
そうやって話をしていて、いつも思うんだけど、学生や若い社会人って、ハッとするような「気づき」を持っていて、潜在力があるんだなと思う。
たしかに経験は少ないし、スキルは未熟だし、先輩たちに比べれば穴だらけだ。でもその分、発想が自由で矛盾を鋭くついたりする。
そもそも、今の採用活動が矛盾のかたまりだし、今回のルール変更だって誰にとっても変。学生生活を充実させるといって8月に後ろ倒ししたけど、4年の前期はもう崩壊状態で、それを咎めようもない。
そういえば、みんなで売り上げ水増ししちゃった大企業のニュースは、当初の想像以上にすごいことになってるけど、変だと思っていてもそれに慣れるのが、また経験の怖さだったりする。
だから、学生や若い社会人と話して時に感じる「驚き」と、ある意味対照的な驚きもある。それは、十年以上経験を重ねた社会人が、おそろしく陳腐な発想しかできない時だ。
何かを提案しても、「それはうちの会社にはあってないから」的な理由で前に進まない経験はあると思うけど、そういう人もきっと若い時は違ったかもしれないなぁ、と。
ただ、話を深く聞いてみると、そういう人もダメになったとも言えない。わかっているけど、あきらめてる。そして、もうそれでいいかと思ってる。そして、動こうと思っても、もう動けない。
なんか思うんだけど、会社って「鳥を鶏にする」のかなって。
最初は未熟だけどみんなそれなりに、空を飛べる鳥だった。でも、会社からしっかりと栄養を与えられて、決められたことを忠実にこなすうちに、それに慣れてしまう。
気がつくと、みんな鶏になっている。でも優れた会社って、トップは鳥だと思うし、何歳までも鳥でいる社員がたくさんいるってことなんだろ。鷹や鷲が集団で飛んでるようなものだ。それは強いに違いない。
そう考えると、経営陣が売り上げにプレッシャーかけて「不適切会計」やっちゃった会社とか、もうトップ以下巨大な鶏集団ってことなのか。なんか、納得できる。
そういば日本で初めて鳥インフルエンザが大量発生した京都の現場に一番乗りした記者の話を聞いたことがある。まだ非常線が張られる前だったので、中の惨状を目の当たりしたというのだ。
数千羽の鶏が落命している光景について詳しくは書かないが、ちょうど会社を辞める歳だったこともあり、いまも印象に残っている。
真夏の就活大変だろうけど、いつまでも鳥でいてほしいな、と。