今さらではあるけれど、服を買う時に店員が使う「きれい目」という言葉が気になっている。何がきれい目か?という前に日本語としての語感も引っかかる。
なんで引っかかるんだろう、と思ったが、まず「きれい目じゃない服ってなんだよ?」ということ。「早め」の反対が「遅め」なんだから、きれい目の反対は「汚い目」?とか思ってしまうが、そういうわけでもない。
で、気づいたんだけど「きれい目」であって「きれい」ではない。これは、「中央値よりややきれい」なニュアンスだと思うんだよね。
「強く」がフォルテなら、「強めに」がメゾフォルテ。だから、すごく頑張ってきれいなわけじゃない。
「きれい目」で画像検索かければ分かるわけで、まあ爽やかで、サッパリした感じの服がならんでいる。
そういうわけで、実際に店の人に聞いてみたりした。「きれい目って、どんなこと言うの?」って。ネットで調べてもよくわからんのだけど、実際にプロが語っているようなサイトもなかなかない。
いろいろ聞いてわかったのは、みんな何となく使っているけど、共通してるのは「きちんとしてる」というニュアンスだった。すくなくても「ラフではない」し、ダラダラし感じじゃない。
「職場にも着て行ってOK」という感じでもあるようだ。
たしかに、クールビズ以来のビジネスファッションは結構コードが曖昧だった。金融業だと「とりあえずネクタイだけ外しました」みたいな感じの人が多いけど、もともとスーツじゃない業種もあったわけで、その場合だといきなりTシャツになって、それはそれでどうなんだろう?という感じもたしかにあり、その後職場ごとの暗黙の基準もできてきた感じだ。
そんな中で「きれい目」というのは、「そこそこきちんとしてる」という意味合いで使われている、というのが実際に店の人と話した感じだった。
一つ印象的だったのが、とあるショップの人が「たとえばジーンズでも、ブレザーを合わせるような着こなし」をきれい目の例として話していたこと。
かつて流行ったトラッド・ファッションの位置づけにちょっと似ているかもしれない。もちろん、ノーネクタイだけどそれなりの場所に出ていったもOK、といった感じか。
いろいろ尋ねたけど、どこか謎の言葉「きれい目」。
ただ、振り返ってみると「きれい目」と薦められた服を買ってきたようにも思う。アパレルのマジックワード、さすがだ。