いまどき「時期尚早」とかを耳にする会社ってどうなんだろう。
(2015年2月23日)

カテゴリ:キャリアのことも

使うと便利だが、結構危ないんじゃないかと思う日本語がいくつかあって、その一つが「時期尚早」というやつだ。

「あの案件の決裁どうなった」

「実は……」

「え?通らなかったの?」

「まあ、時期尚早ってことらしいんだよなぁ」

経営者やマネージャーにとって、これほど使いやすい言葉はないんじゃないか。「まだ、いいんじゃないか…」だと重みに欠ける。でも「時期尚早」は四文字熟語だ。ただ、「なぜ尚早」かはわからない。そして、いつが適切な時期かもわからない。でも、この便利な言葉で先送りにされて「ああ、あの時」!」みたいな案件は相当あると思うんだよね。

「時期尚早で否決された案件によって失った利益機会の総和」とか誰か計算してくれないんだろうか、と思う。結構あるんじゃないだろうか。

そういえば、子どものころからなんだか意味が分からない言葉に「背に腹は代えられない」という言い回しがある。背と腹は違うことはわかる。鰹のたたきを選ぶ時だって、違いは知ってる。でも、それが会話の中に出てくると、単なる「言ったもの勝ち」じゃないかと。

「部長!さすがにこのプランだとプレゼン勝っても利益が相当厳しいですよ」

「何言ってるんだ。背に腹は代えられないだろ!」

で、この場合プレゼンテーションに勝つことが「腹」なのかもしれないが、そもそもそんなこと誰も考えてない。これも切羽詰った時の、切り札だ。

しかし、「爆速」とかが話題になる中で今さら「時期尚早」とか言ってる会社も少なそうだけど、まだまだ結構あるようだ。それが、組織の空気を的確に表しているような気もしている。

いずれにしても、意味をなさないような格言や言い回しはたくさんあって、それが堂々ととおるのもまた会社の常なのだろうけど。

まあ、プレゼンテーションに負けたあとで「負けるが勝ち」というような上司はさすがに聞いたことはない。いるようだったら、そろそろ次の仕事を探すことを奨めたい。