Nスぺの「ど真ん中」が気になるんだけど。
(2014年10月24日)

カテゴリ:世の中いろいろ

去る日曜日(10/19)のNHKスぺシャル「カラーでよみがえる東京~不死鳥都市の100年」は、色の威力をしみじみ感じた。75分と言わず、もっといろいろ見せてもらえればと思ったけど、まあ編集も大変だろうし、また次のお楽しみということなんだろう。

で、内容は面白かったんだけど、どうしても気になることがあって、それは「言葉づかい」だった。というか、単純に「ど真ん中」という表現がやっぱり東京には似合わないと思うのだ。

この番組では「東京のど真ん中」「銀座のど真ん中」と2回「ど真ん中」が使われている。別に普段はこの言葉はそうそう気にならないのだけれど、今回は強い違和感を持った。

個人的な感覚だと、ここでは「東京のまん真ん中」の方が、スッと来る。

そもそも、接頭に「ど」をつけるのは関西の言い回しだろう。丸谷才一は、この表現が広まったのは野球中継の「ど真ん中」が影響していたのではないかと推測していた。これは、野球関係者に関西人が多いからではないか?と書いていたのだけれど、正しいと思う。

なぜか、野球選手は関西弁になり、それがまたエセ関西弁になったりすることは玉木正之も指摘していた。

もっとも、野球界のスーパースターだった王も長嶋も関東人だが、二人ともそうそう解説するわけではないし、長嶋に至っては東西を超越した長嶋語だ。テレビから流れてくる野球言葉は関西風で、特に投手のボールは関東風の「まん真ん中」より「ど真ん中」じゃないと迫力がないだろう、という丸谷才一の指摘はなるほどな、と思う。

そういえば「男どアホウ甲子園」という漫画もあって、このあたりで「ど」という接頭は全国区になったのだろう。

しかし、昔の東京の映像を見ていると、やはり合わない。「浪速のど真ん中」ならまったく違和感がないように、「銀座のまん真ん中」としてほしかった。

まあ、NHKの原稿書いている人も若いのかもしれないし、こんな爺の戯言をわざわざ書くこともないんだろうけれど、やっぱり書きたくなる理由があって、それはこの番組のナレーターがあの人だからだ。

松平定知氏なのである。徳川家の流れを組む名門の後裔の方が、この東京の歴史を語るのはまさに適役だったと思うが、だったらなぜ2度も出てくる「ど真ん中」を見過ごしたのか。読んでて気にならなかったのか。

ああ、やっぱ気になる。