2014年08月アーカイブ

広告会社にいた頃、新卒採用の面接をしている時に最も多い志望理由の一つが、

「人を動かす仕事がしたい!」というものだった。

「ウ~ン、たまには“人に動かされたい!”って学生来ませんかね~」

「オオォ!そりゃ、即採用だよ」

何て会話をした記憶もある。そう、「人を動かしたい願望」があって、マーケティングやメディアに関心を持つ人は多いのだ。実際は、そうとう「動かされる」毎日なんだけどね。

本田哲也、田端信太郎両氏の共著「広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい」を読んで、ふとそんなことを思い出した。この本は、夏休みに入る前にkindleでダウンロードしていたのだけど、帰宅したら著者からご恵送いただいていた。ありがとうございました。

で、「人を動かす」というと、カーネギーの有名な著作がある。この本はマネジメントについて語っているので、どちらかというと「目の前にいる人を動かす」話が多い。
一方で「メディアを通じて」人を動かす時の作法は当然異なってくる。今までの広告会社が「人を動かす」をいう時は、企業がマスメディアを通じて行う活動が殆どだった。

その場合、「誰が言っているか」というと、まあ当たり前のように「企業」である。だから、それを前提にして「何を言うか」を必死に考えてきた。それが、いわゆる「コンセプトメイキング」であり、コピーだ。

ところが、ネット上の「情報爆発」が起きてくると、「何を言うか」の差別化が難しくなる。そうなると「誰が言っているか」が、関心の的になってきた。それは、有名人かもしれないし、匿名の誰かかもしれない。山ほどあるダイエット法などを振り返れば、よくわかる。

言っている内容は「食生活」か「運動」の改善しかない。ただし、「誰が言っているか」によって相当影響は変わってくる。

人は、他者の影響を受ける。それは「目の前の人」かもしれないし、「メディアの向こうにいる企業」かもしれない。ところが、当然その間には無数の他者がいて、それぞれが微妙に「知ってる人」だったり「知らない人」だったりする。 >> 「人を動かしたい」について改めて考えてみた。の続きを読む