とある広告会社のクリエイターが、新人を預かるという話になって、一体何から教えようかというので、まあいろいろ話して「コピーから入ったら」ということで一致した。
まずは、キャッチコピーをたくさん書いてみる、というわけだ。
コピーライターの仕事って、大変に学びが多い。コピーを書くというのは、コピーライター以外の人でも、トレーニングとして有効だと思う。
コピーライターの仕事は、結構誤解されている面もあるかもしれないけれど、最大のメリットは「戦略と戦術を、両方考えられる」ことだと思う。
というか、最近つくづくそう思うようになった。
コピーで、まず考えることは「切り口」だ。つまり、「戦略=どこで戦うか」ということ。
この場合、商品に決定的なUSPがあれば、それを伝えるだけで足りる。「スプーン一杯で驚きの白さ」とか、携帯電話の「0円」とか。こうした切り口は、企業の戦略に寄り添っていく。スマホもいろいろ出てきたから「大画面でいくか」となれば、コピーも基本的には「画面の大きさ」が基本線だろう。
ところが、製品の差別化が困難になってくると、同じフィールドの中で「戦術=どう戦うか」ということになっていく。そうなると、コピーとしては“表現”が求められる。語尾や、言いまわし、あるいは会話にする…などいろいろ工夫する中で、買い手が「自分に近い」と感じるような言葉を考えていくわけだ。
こう書けば何となくお分かりかと思うが、戦略レベルで決定的に差別化できれば、コピーの役割は背景へと去っていく。相当シンプルになるはずだ。