就活に「挫折体験」はいらないと思う。
(2014年4月11日)

カテゴリ:キャリアのことも
タグ:

今年の就活もどんどん進行しているようで、内定を出しているところも多いし、大手では面接が本格的に始まっているようだ。

話を聞いてて気づいたんだけど、企業が「求める人材」って大きく変わらないんだけど、就活の「ツボ」みたいなのはジワジワ変化している。

最近で言うと「学生自体に挫折から立ち直った経緯」というのが、段々と薄まっている。というか、そもそもESに「挫折体験」を書かせている企業があったのも不思議な話だ。

そもそも、ESなどで「挫折体験」が入ってきた経緯というのも、何とも日本らしい“予備校文化”のおかげだと思っている。

既に十数年前から「挫折体験」を持っている学生というのは、採用側としては狙い目だった。体育会の学生でも、単に強ければいいというわけではない。レギュラーになれないで、下積みや裏方をやっている方が、社会人的には「あり」だったわけだ。

それが、段々とポピュラーになった。これは

①ESで達成体験を書かせるようになる→②みんな同じになる→③一度挫折してからの取り組みを書きましょう

ということがマニュアル化されて、そこでESに挫折体験を書かせるようになってしまったのだ。

ところが、これがまた同じになる。そりゃそうだ。今の教育システムと社会の中で、大学を出ようとしているのだから挫折と言ってもそんな劇的な話はない。かといって、恋愛の話書かれても困るし、書く方も嫌だと思うし。

それより最大の問題は、選考の本来の目的がすっ飛んだこと。

人物を見るなら「一番輝いている時」を引っ張り出してあげるべきなのに、挫折話を入れるから妙に辛気臭い話になってしまう。

問題は「じゃあ、ESに“挫折体験”でも入れてみるか」という安易に考える採用側にあるんだろう。画一的な枠をつくれば、やってくる学生も画一化するに決まっているのだ。

というわけで、最近は「自己PRに挫折はいれないでいいよ」とアドバイスしている。

書けというフォーマットの企業はともかく、自由に書けるなら「自分が一番輝いていた時」を再現してみること。そのノリで面接に入った方が「一番の自分」を出せるはずなのだから。

まあ、学生に「挫折体験」を求めるような大人って、自分の挫折もそうそう総括しないまま、何となく生きてきちゃった人なんだと思う。で、そういう人の語るささやかな武勇伝が、今夜の新人歓迎会とかで渦巻いているんだろうけど。

というわけで、学生は胸張って頑張ってね。