そりゃ、やっぱりという感じもあるけれど、大学生の読書時間に関するニュースが話題になっている。
毎年やっている大学生協の調査なのだが、今年は「読書時間ゼロ」が初めて4割を超えたということが、「ついに」という感じではある。ただ、概要報告のページを見ていただければわかるのだが、この10年の傾向だと、「男子の平均読書時間は28分~35分の間を上下しているが、女子は04年の31.6分から13年の24.3分にまで緩やかに減少が続いている」
(太字引用)ということらしい。
こういう調査では「ゼロ」と答える人が多くなると、全体の数字がググッと減る。もしかすると「読んでる人」に限れば、もう少し別の面が見えるかもしれないが、概要報告からは、よくわからない。
いずれにせよ、この話で一番の“犯人”はスマホのようだ。ただ、ニュースにある大学生協のコメントのように「おカネ」の話も大きいと思う。
同じ調査では仕送り金額も調査しているが、これもまた右下がりだ。
で、あまり指摘する人がいないけど、僕が気にしているのは本の価格だ。
本は高いか?という問いに対しては、本当に答えがバラバラになる。本から大きな影響を受けて、読書を楽しんでいる人にとっては、適切であり安いくらいかもしれない。3000円の本は、結構高いかもしれないが、酒を飲んだらすぐに消える値段だし、などと考えればこういう価値観は人それぞれなのはたしかだ。
ただ、1つ指摘したいことがある。それは、本の値段は他の商品に比べて割高になっているのでは?ということだ。デフレの時代でも、本の価格は特に下がってない。
というか、上がっている。雑誌もそうだ。
自分が学生の頃は、「文庫本は、コーヒー一杯の値段」だった。そこで文庫本の名作を読むことは、賢い選択のように感じられた。
ところが、いまはコンビニにいけば100円で相当おいしいコーヒーが飲める一方で、文庫本が1000円以上することも珍しくない。30年前から本を買っていると「そんなものか」と思うけど、今の大学生が「本は高い」と感じてもやむを得ない気がする。
デフレ下では、コーヒーだけではなく、ジーンズも1000円以下になり、地価も下がった。
その一方で、学費は上がり続けているし、賃貸住宅の家賃も分譲に比べると高止まりだ。つまり、大学生をとりまく「必要経費」は世の流れとは異なり、その負担は上がり続けている。
その中で、先にも書いたけど仕送りは減る。バイトをせざるを得ない。
「本を読まない」と問題視するだけじゃなくて、読めるような環境をつくった方がいいと思う。経済的な支援なら、学割みたいな方法もあるだろう。これは新聞だってできるはず。
あとは、読書を含めた、“広い学び”を入学後に体験させることも大切だろうし。
本を読まない学生と、何でも「スマホのせい」にする大人。思考停止という意味では、実は似ていたりするんだよね。