毎年、親しくなった何名かの学生が巣立つ姿を見ている。以前から大体、似たような言葉をかけて来たので、書き留めておこうと思う。
自分が社会に出る前は、とても不安だったことを覚えている。まあ、どうにかなったけれど、最初の週末が本当に待ち遠しかった。在籍中に新人研修をしていたが、必ず気にしていたのは、「4月1日が何曜日か」ということだ。月曜だったりすると、最初の1週間が結構しんどい。かといって、金曜だと、翌週につけがくる。今年は火曜だから、結構長めの一週間になるのだろう。
僕のことを思い出すと、3月31日の心境は、「プールから海へ」という不安だった。学生までは、いくら大変なことがあったとしても、頼るところはたくさんあった。つまり、プールで泳いでいるようなものだ。それがわかっていたからこそ、海へ出る不安は大きかった。
ところが、実際に社会へ出て半年もすると、意外なことがわかる。海といっても、ちょっと休めるところは思いのほか多い。それは社内の人の支えだったり、旧い友人との付き合いだったり、さまざまだ。
そのうちに、少しくらい休むところがなくても、遠泳できるようになっていく。それは、社会人としての「精神的体力」だと思う。
もちろん、企業や業界によって海の荒れ方は違う。もちろん、社会に適応できない人もいるだろう。
そうした人々の原因はさまざまだけれど、結構多いのが「とにかく休まず泳ぎ続けよう」という気負いが強すぎることだ。
4月1日を迎えたからといって、いきなり変わろうと焦ることもない。プールで学んだ泳ぎ方で、ゆっくりと海に出ればいいと思う。
間もなく入社10年を迎える友人が、学生に言ってた言葉が面白かったので、最後に紹介しておこう。
「社会人だからって、大したことないよ。この間まで、Tシャツ着て酒飲んでゲロ吐いてた奴が、スーツにネクタイで酒飲んでゲロ吐いてるだけだから」
何だかよくわからないけど、そういうものかもいしれない。健闘を祈る。