そして宝塚が100年である。めでたい。めでたいから、まずはナポレオンだ。
しかし、ナポレオンは手ごわい。近くにいてもあまり友達になりたくない感じだが、そういう意味ではなく、後世の人々にとっても手ごわい。
軍人としての卓抜さ、政治家としての手腕、そして意志に貫かれた個性。しかし、その功績は隣国からは悪魔の所業ともいわれ、晩年は悲惨でもある。後世、というか当時の文化人も翻弄された。ヘーゲルは彼に「世界精神」を見て、ベートーヴェンは“エロイカ”を献呈しようとした。
それから、200年余りが経ったが、彼を舞台で描くのは本当に手ごわい。一体、何を描きたかったのか?という思いが舞台を見た後も付きまとう。
ナポレオンの業績を横糸に、ジョセフィーヌとの関係を縦糸に、と書いて思ったけど、縦も横もよくわからないくらい、エピソードが多く溢れている。あまりにも多くの素材を料理しようとして、焦点の定まらなくなったコース料理のようだ。
猛女の姑と嫁、過去を遡る演出など「エリザベート」を彷彿させるところもある。そういえばタレーランはトートを連想する。
しかし、いかんせん相手はナポレオンだ。結局彼は何者だったのか。眠らない男、というだけでは物足りない。後ろの席にいた女性は「眠らない♪」という歌を聴きながら、眠気をこらえていたと話していた。たしかに、舞台としては単調なところもある。 >> ナポレオンはやはり手ごわかった。の続きを読む
2014年02月アーカイブ