宝塚歌劇団宙組
『翼ある人びと―ブラームスとクララ・シューマン―』
作・演出/上田 久美子
2014年2月26日 日本青年館大ホール
ブラームスの才能を見出したシューマンは「新しい道」と題した評論で、彼を称えたというけれど、今回の作・演出の上田久美子さんも、まさに「新しい道」だと感じた。
僕はクラシックを聴くし、就中ブラームスは大好きなので、むしろこの公演は気になりながらも迷っていた。ところが関西公演のリハーサルをCS290chのスカイステージで見ているうちに、「もしやかなり面白いのでは」と予感したのだが、想像をはるかに上回る、素晴らしい舞台だった。
若いブラームス、彼を見出したシューマン、そして妻のクララ。ブラームスはクララに恋心を抱いたのではないか?というのはずっと謎として語られていた。このストーリーも一歩間違えるとただのメロドラマになる題材なのだけれど、そんなことは全くなかった。
なぜか?というと、この時代の作曲家の苦悩がていねいに描かれていることで、とても骨太な構成になったからだと思う。
2月が今週で終わる。そして、なんだか今年の2月は「メディア疲れ」という感じだ。都知事選に大雪、そしてオリンピック。ネットを見ていても、思い入れの強い記事が多いせいか、なんだか疲れる。
雪で自宅にいる時間が長くなるので、接触時間も長かった気がするし。
それにしても、改めて日本は高齢社会になっているんだな、振り返って実感する。
都知事選は高齢者層の票をしっかり集めた舛添氏の圧勝。
雪が降っても、「ああ大変だ」という空気になる。もちろん雪だるまとかネットにも投稿されるんだけど、子供自体の数が少ない。
歳を取るにつれて「雪を歓ぶ」が「雪を嫌がる」になり、やがて「雪を恐れる」になる。「歓雪→嫌雪→恐雪」と、いかん下手なマスコミ造語みたいだけど、それが世の中の空気だ。
猛暑も台風もそう。NHKでも、トップニュースが「気象」ということが増えたと思う。
オリンピックも、そんな感じがする。フィギュアスケートって。全然よくわからないんだけど、テレビのある飲み屋で中高年の男性が見ながら話しているのをみると、「詳しいな~」と思うことが多い。
だからプレイヤーへの視点も「娘を応援する」どころか「孫を応援する」ような感じになっている気がする。
そして宝塚が100年である。めでたい。めでたいから、まずはナポレオンだ。
しかし、ナポレオンは手ごわい。近くにいてもあまり友達になりたくない感じだが、そういう意味ではなく、後世の人々にとっても手ごわい。
軍人としての卓抜さ、政治家としての手腕、そして意志に貫かれた個性。しかし、その功績は隣国からは悪魔の所業ともいわれ、晩年は悲惨でもある。後世、というか当時の文化人も翻弄された。ヘーゲルは彼に「世界精神」を見て、ベートーヴェンは“エロイカ”を献呈しようとした。
それから、200年余りが経ったが、彼を舞台で描くのは本当に手ごわい。一体、何を描きたかったのか?という思いが舞台を見た後も付きまとう。
ナポレオンの業績を横糸に、ジョセフィーヌとの関係を縦糸に、と書いて思ったけど、縦も横もよくわからないくらい、エピソードが多く溢れている。あまりにも多くの素材を料理しようとして、焦点の定まらなくなったコース料理のようだ。
猛女の姑と嫁、過去を遡る演出など「エリザベート」を彷彿させるところもある。そういえばタレーランはトートを連想する。
しかし、いかんせん相手はナポレオンだ。結局彼は何者だったのか。眠らない男、というだけでは物足りない。後ろの席にいた女性は「眠らない♪」という歌を聴きながら、眠気をこらえていたと話していた。たしかに、舞台としては単調なところもある。 >> ナポレオンはやはり手ごわかった。の続きを読む
だからと言って、そんな話はないだろう。
最近ウェブを見ていると、そういう気持ちになることが多い。何だか、ネットを見ること自体が億劫になる。
理由は単純で、都知事選からオリンピックという流れだよ、多分。「思い入れの強い」人の声ばかりが増幅されているように感じる。その間にあった「別人作曲」の件もそうだ。
たとえば、選挙。都知事選に限らず、最近の選挙の終盤には同じ傾向がある。それは優位とされている人や政党を貶めるような情報がダーッと溢れてくることだ。中には特に信用できるようなものでなかったりするものも多い。
これって結局は昔の「紙爆弾」と同じで、選挙終盤に激戦区で投函される「怪文書」に近い。ネットになっても、程度は同じ。というかこじれちゃった気もする。
いや、支持者の人には思い入れがあるのだろう。でも、風邪と思い入れはこじらせるとタチが悪い。そういうのを読むと、何だかいたたまれなくて、妙な毒に当った気がする。
そしてオリンピック。ネットでいろいろな声はあるけれど、こんなところで「税金」の話が出るんだなあ、と。
なわけで、都知事選が終わった。終盤の情勢調査で「細川と宇都宮が横一線」と聞いた時、ああこれはもう決まったと思った人は多いだろう。なぜなら宇都宮氏の得票は支持基盤や実績からしても、100万弱だろうし、それと同じとなるとかなり厳しいからだ。
今回の数字を分析するなら、昨夏の参院選を見るとよくわかる。おそらく、立候補する人、特に細川陣営はこの数字を見て「さてどこからどれだけいただこうか」と考えたはずだからだ。
というわけで、参院選の得票を見てみる。(右のアルファベットは今回の都知事選の指示対象者)
まず舛添陣営の立場で見ると、自公の票を足すだろう。これが計247万。
宇都宮陣営は、共産に加えて、前回実績や山本太郎の票から100万くらいは見込むだろう。
田母神氏は、維新の41万に上乗せできるか?と目論む
さて、細川陣営はどう考えるか?
民主系は79万。これにみんなや山本太郎から半分と仮定しても140万くらいは「ありそう」に思えたのではないか。