若い層は選挙に行ってもムダなのか?
(2013年7月18日)

カテゴリ:マーケティング
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選挙が近くなったので、一つ書いておこうと思っていることがある。
それは、若い世代は選挙に行っても意味がないのか?という話だ。今年大学の講義でも「投票率の向上」をテーマにしてみたりしたのだが、年代別投票率の件はたしかに気になる。
昔から若い方が投票率は低いのだけれど、最近になって聞く議論は「高齢者が多いから若年層は選挙に行ってもムダ」というような話だ。
一方で、都市部の票が軽いことも考え合わせると、それはそうかもな、という気になってくる。 “若年層が選挙に行かない理由”をネットで調べてみると、「いまの選挙は高齢者有利だから棄権」という声も目立つ。
ただし、本当に「行ってもムダ」かというとそれは違うのではないだろうか。
昨年12月の総選挙データを元に、年代別の有権者の中で「投票」「棄権」をグラフ化してみた。たしかに、この投票結果であれば仮に完全な比例代表制をとっても、高齢者のパワーが強いように思える。
ただし、これは結果だ。「どう動かすか」という視点でみれば、注目するのはブルーの「棄権者」だと思う。この層が動けば、かなり流れは変わるのではないだろうか。


60代はたしかに高い。だが、一方で「目いっぱい」ともいえる。あまり投票率が伸びる余地がない。本来、このブルーの部分に注目して政策を提示するというのは、「有り」なのだと思う。
たしかに20代は絶対数が少ないけれど、30代や40代は十分に多く、棄権率も高い。市場開拓余地、と捉えることもできる。
また、今回の参議院選挙は複数区もある。このような選挙区では、こうした層が動くことで結果が変わる可能性は十分にある。
前回の都議選で実は気になっていたのは北区の選挙だ。ここに立候補した20代の候補が4位に滑り込んで当選したのだが、この候補についての話題は告示前からフェイスブックなどで結構シェアされていたりしたのだ。
で、どうなるかと思っていたら当選。そして、調べて初めて知ったのだが北区の投票率は島嶼や町村を除けば最高なのだ(これはどの選挙でもそういう傾向みたいだけど)
ちなみに、この候補の得票率は人口比で約5%。小選挙区でなければ、このくらいの数字でもいけるのだ。
もっとも一人区は、そうもいかないが、比例代表区もある。だから現在の棄権者層が動けばは、何らかのメッセージを届けることが可能だと思う。
ただ、「投票したい対象がない」という気持ちもわかる。結局政党が「お得意様」である年代に顔を向けているのだから。
政党がこの高齢者ばかり気にすることで、若年層が政治への関心を持たなくなり、政治家は若年層が期待する政策を考えない……それが低投票率への循環となっているのだろう。
全然話が違うのだけれど、日本車がみんな同じになっている間に、外国車が結構伸びていることをふと連想した。
政治家がこうした「掘り起し」をしないのは、思いつかないのか、それとも既得権益を守りたい人を相手にした方が「ラク」だからなのか。
高踏的に理屈は並べられるが、ただ、何もしないと何も変わらない。
投票に行くのは個人の自由だけれど、「行っても変わらない」という思い込みで棄権するのは再考してもいいように思う。
(投票率は「明るい選挙推進推進協会」のデータ、また人口は平成24年12月の人口推計の確定値を参照にしている)