学生と「TV離れ」を考えた。
(2012年10月29日)

カテゴリ:マーケティング
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というわけで伝統的マスメディアの問題を考えてみたんだけど、みんな「テレビ離れ」って言葉は聞くよね?(一同頷く)でも、一方でテレビを見ている人は結構多いし、視聴率で1%と言っても普通の雑誌以上の視聴者がいることになる、という話はしたよね。
では、広告メディアとしてみた時にテレビの価値ってどうなんだ?という話。
じゃあ、この講義は少人数だから、前から順に一人ずつ答えてください。
質問は、「どんな人がどんなテレビ見てるか?」です。はい、前から
『主婦が、昼から午後にかけて』ドラマとか?『はい、あとワイドショー的なニュース』なるほど
『高齢者が…』いつ?『うーん、一日中』夜は?『早寝だから深夜は少ないかな』
『大学生』自分達じゃない、いつ頃?『11時以降の夜かな』 だろうね
『会社員…』いつかな?『朝見て…あとはいつだろ。夜中かな?そんな時間ないか』
『小学校の高学年』何で?『自分が高校の頃見てたものに弟とかやたら興味示してた』君は?『やっぱり一番見たがったのは中学までかも』
『子ども』どのくらい?『幼稚園とか、朝からアニメとか見る』多いよね、休みの日とか
たしかに、こんな感じの人がテレビを見ているかな。
じゃあ、もう一度黒板眺めてもらったうえで次の人に質問。
「いまの日本で、テレビをたくさん見ている人って”どんな人”?」


『どんな?って、どういうことですか』
いや、どんな切り口でもいいけれど、共通する感じはある?
『あまり働いていない、人かなと』
そう。実に鋭いところを突いたよね。以前見たメディア接触のデータを見ても20代から40代の男性はテレビ接触時間が短い。計2時間だから朝と晩に1時間程度だろう。となると、テレビの問題が見えるよね。
働いている人が見ない。実は昔はそうでもなかった。サザエさんって、明るいうちにマスオさんも波平さんも帰って来るでしょ?ああいう時代だと、会社員もテレビを見られた。また工場で働く人が多い時代だったら、基本的には定時に帰る。いきなり夜中まで残業とかないけど、今は都市部のサービス業で働く人が増えた。
じゃあ、このようになって成り立たなくなったコンテンツの代表は?次の人
『野球のナイター、でしょうか』
そうだよね。つまりゴールデンタイムにおカネを稼いでいる人は見ていない。一方で、食品、トイレタリーなどのCMは今でも結構多いんだけど、じゃあ減少したのは何だろうか?
『……エエ?』 
難しい?じゃあ価格帯を考えてみて。
『自動車、でしょうか』
そうだね。今だと軽自動車は結構多いけれど、全体的には減少してきたよね。
つまり、こういこと。いくらメディアに接触していてもその人が広告主から見て「お客様」とは限らない。で、いいお客様というのは「おカネを持っている」か「消費意欲が強いか」ということになる。
高齢者はたしかにカネを持っている人もいるが、モノもある。そんなに次から次へと買うわけではない。そして、昔に比べて減ったというが若い人の方が消費への関心が強い。ただし、テレビ以外のメディアに流れているのは周知のとおり。
君たちだって、テレビ見ながらスマホ見てるでしょ?(みな同意)
というわけで、テレビの問題点は視聴率を見てもわからない。一番の問題は「お客様」が見ていないということなんだ。
(10月22日青山学院大学での講義より)
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