石原慎太郎が、先の記者会見で自らの歳にからめて「若い人、しっかりしろよ」と発言した。まあ言いそうなことなので別段驚かないんだけれど、読売オンラインの記事がおもしろかった。「若い人」(と言っても学生から50歳前後まで含んでいるが)の反応が「共感と反発」に分化しているという。(日経にも同様の切り口の記事があった)
まあ取材した範囲だから、どっちが多数派か?とかはわからんのだが、なるほどなと思った。
ただ、この手の発言は彼だけじゃなくて、企業経営者や幹部がよく言ってることでもある。そして、そこには共通した現象と心理が垣間見えるから面白い。別に80歳じゃなくても、こういう発言する人には似たところがある、ということだ。
まず、「若い人が出てこない」という人は、そもそも自分がどいてない。長いことレギュラーに居座っている芸能人も似た様なことを言う。「俺のポジション取りに来い」とか言っているけど、そもそも自分が今のポジションに執着している人が、他人事のようにのたまう。
これは企業でも、そう。
次に、育成策を実行していない。「育てられた」という感謝を持っている人は、育成に注力するが、自分でよじ登ってきた人は、他人もそうするだろうと思っている。まあ慎太郎もそうだろう、実力でのした人だからだ。企業でも、自ら這い上がった幹部は、過剰な現場重視をするし、育成を軽視する。同じような時代ならどうにかなるが、環境変化には脆い。
そして、決定的な特徴は過剰な自己愛だ。結局、「若い人がしっかりしてない」というのも、「だから俺がやる」ということの”枕詞”である。結局は自分が愛しく、大切ということだ。経営者にもいるでしょ、「再登板」みたいなパターン。
しかし、政治家であれば若い人も選挙を通じてNOと言うこともできる。もちろんYESでもいいけど。しかし、企業ではそうもいかない。
「若いのがしっかりしてない」という企業幹部の発言は、組織が傾くアラームとして聞くしかないのだろう。
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就活を控えた学生のためのフリーコンテンツ「就活セットアップ」をスタートさせました。リンク先はトップページですが、右下のアーカイブから掲載分はすべて読めます。11/30まで続きます。
というわけで伝統的マスメディアの問題を考えてみたんだけど、みんな「テレビ離れ」って言葉は聞くよね?(一同頷く)でも、一方でテレビを見ている人は結構多いし、視聴率で1%と言っても普通の雑誌以上の視聴者がいることになる、という話はしたよね。
では、広告メディアとしてみた時にテレビの価値ってどうなんだ?という話。
じゃあ、この講義は少人数だから、前から順に一人ずつ答えてください。
質問は、「どんな人がどんなテレビ見てるか?」です。はい、前から
『主婦が、昼から午後にかけて』ドラマとか?『はい、あとワイドショー的なニュース』なるほど
『高齢者が…』いつ?『うーん、一日中』夜は?『早寝だから深夜は少ないかな』
『大学生』自分達じゃない、いつ頃?『11時以降の夜かな』 だろうね
『会社員…』いつかな?『朝見て…あとはいつだろ。夜中かな?そんな時間ないか』
『小学校の高学年』何で?『自分が高校の頃見てたものに弟とかやたら興味示してた』君は?『やっぱり一番見たがったのは中学までかも』
『子ども』どのくらい?『幼稚園とか、朝からアニメとか見る』多いよね、休みの日とか
たしかに、こんな感じの人がテレビを見ているかな。
じゃあ、もう一度黒板眺めてもらったうえで次の人に質問。
「いまの日本で、テレビをたくさん見ている人って”どんな人”?」
で、最初に言っておくと「ぐるなび」でも「カーナビ」でもありません、今日の話は。就職活動のナビサイトのこと。
ゆるゆると始めた「就活セットアップ」の連載だけど、第1週は学生が気にしているポイントを5つほど取り上げていこうと思ってる。で、今日の掲載記事は就活の「情報」について書いておいた。
簡単に言えば、いわゆる「ナビサイト」に振り回されるな、その背景をつかんでおこう、ということになる。
12/1の解禁後はもちろん、学生は恐ろしいほどの量の情報の海に投げ込まれている。それは企業からの情報ではなく、リクナビやマイナビなどの「ナビサイト」から発せられている。
日本は短期間で新卒一括採用をするため、こうした就職支援企業のビジネス機会は増える。自前で採用・広報システムをゼロから作って運用するのは、たしかに割に合わない。もっと中長期的に学生と付き合って採用するなら、このようなエントリーシステムは必要ないだろう。
だからナビサイトが盛んになることは、まあ経済団体の決めた仕組みから出た必然でもあり、その存在の可否を論じるつもりはない。
ただ、ここ最近の動きを見ると「ちょっとハシャギ過ぎじゃないか」と思っている。
まあナビサイトの広告をするのも自由とは思うが、12月1日の駅貼り広告とか恐ろしい量が出る。いわば「開戦告知」のようなものだ。当然、学生は焦る。情報の荒波で強烈な船酔いを起こす状況になるが、その荒波をナビサイトが作っている面もある。
学生に見せてもらったのが、どんどんコンテンツが増加している。ただし、本質的な「ナビゲーション」になってはいない。こうなると、「情報をやり過ごせる学生」じゃないと精神的に厳しいだろう。
潜在能力を持っているのに「ウロウロしているうちに就活終了」という学生が結構いるのだ。そういう状態はとにかく避けたいな、と思ってこの企画を始めてみたわけである。
ま、これは学生に限った話ではない。そもそも、ナビゲーターというのは「目的地を持った人」にとっては便利だが、目的地を決めてもらう仕組みではない。それなのに、情報に対して過大な依存をしているのは大人も同じなんだけどね。
で、今日はいわゆる伝統的なマスメディアの課題について少し突っ込んでお話ししましょう。このクラスは人数も少ないので、背景などまでいろいろ考えようと思います。
で、ちょうど話題になっている週刊朝日と橋下市長とのバトルの件ですが、まあ想像以上にアッサリと朝日が白旗上げましたね。まあ、バトルとすらいえない。権力者に対して常に監視するというのはメディアの大切な役割ですが、今回の件は本質を外したということでしょう。
でさ、全然話違うんだけど、最近芸人のケガが相次いでない?スギちゃんが高飛び込みで骨折したけど、それ以外にいろいろ聞くでしょ?何でだと思う?
実は、さっきの週刊朝日の問題と芸人のケガ。これって、全く違う話のようで、実は底流では構造的に関連している。じゃあ、何か?ぶっちゃけて言うと、カネの問題だと考えられる。
もう少し丁寧にいえば「マスメディア経営の行き詰り」を象徴していると言ってもいいでしょう。
芸人のケガもいろいろ理由はあるかもしれないが、共通項は単純。企画力の低い番組を低予算で作るからです。前回みたようにテレビ局の制作費は2008年から、各局とも減少してたよね?広告収入の減少が制作費を直撃している。カネがなければ、報酬も低い。人材も集まらない。だから「プールから高飛び込み」って、学生の企画にしても質が低いだろ。そしてセットなども手を抜くから安全性も甘い。
まあ「VS嵐」とかは金かけてると思いますよ。嵐にケガさせたら、国民的問題ですから。ただし改編期の特別番組とか、素人が見ても適当です。結局は、仕事を断れない「ひな壇芸人」を酷使する。10月前に芸人がケガしたのは偶然じゃないと思うね。
で、週刊朝日。
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この秋、ちょっと新しいことを始めますので、お知らせです。
それは、就活を控えた大学生を対象にしたネット連載。タイトルは「就活セットアップ」です。
僕は企業対象のコンサルティングや人材育成が仕事の中心です。その傍ら、大学でマーケティングを教えてきました。かつてはキャリア・ディベロップメントも教えたことがあります。
また、さまざまな学生の就職相談を受けてきました。ただし、就職支援をビジネスとして行ったことはありません
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そういう立場で学生と接してきていると、気になることがあります。いわゆる就活の技術についての情報は多いのですが、そもそもの学生の不安は宙ぶらりんになっているんです。
働くということ。会社に勤めるということ。自分のスキルを磨くということ。どれも大切な話なんだけれど、話をする大人が少ない。
結局、そうした不安や疑問を抱えたまま就活に突入します。いろんなことがモヤモヤしているから、いざという時に力が発揮できない学生が多いことも事実です。
それは学生にとっても、企業にとってももったいないことだなと、思いました。
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そこで、就職活動が始まる前に知っておいてほしいことを、ネット上の連載としてスタートすることにしました。特にメディアへの寄稿ではなく、自分のホームページの別館ですし、アーカイブも見られます。
10月22日から11月30日まで毎日記事を増やしていきます。1週間に1章というイメージです。もちろん、購読のための手続きは何もありません。誰でも、読めます。