2012年09月アーカイブ

196-hill.png博報堂生活総合研究所の「生活定点」のデータが、2012年の最新版を含めて過去20年分が一気に無償で公開された。とりあえず、話題になっているようでネットでも気になる人は多いようだし、クライアントからも耳にする。
このデータベースは、国内のマーケティングの仕事をする上ではきわめて優れたデータなのだが、意外と使われていないような気もする。ただし、このデータは本当に貴重で実用的だ。今回オープンになったことで、現場の仕事は結構変わるかもしれない。
僕は2004年に退社して以降、このデータは自分で買っている。内容に比べればまったく高くない。つまり、もともとオープンデータなのだ。しかし、2年おきのデータで1回のCD-ROMには過去5回分、つまり10年分のデータしかない。
その辺が不便で、たまに自分で編集加工していたのだけれど、今回は20年分が通観できる。新生児が成人になるまでの20年だから、世代交代に関わる構造変化も読みとれるだろうし、将来予測も見えやすくなった。10年ではトレンドを見るくらいしかできないので、これもありがたい。
僕自身、この調査はかなり自分のビジネスに役立ててきた。それは退職して独立以降の話である。全くのフリーランスがマーケティング・コンサルティングをすると、「自前のデータ」はない。では、オリジナルの提案ができないか?というとまったくそんなことはない。
僕はクライアントから相談を受けると、日本の政府統計、シンクタンクが公開データを組み合わせるだけで、仮説を作って持っていく。その際に「生活定点」の説得力は高い。
実際に、こうしたデータを組み合わせた分析で、広告会社が作った企画の前提をひっくり返すことも十分に可能であることもよく分かった。

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