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企業の評価というのは、多面的になされるものだと思うし絶対的な尺度があるわけではない。たとえばいまオリンパスは大問題になっているけれど、その商品の価値までが否定されるか?というとそういうわけではないよね。
だから、就職の相談を受ければその個人との相性なども含めて具体的にアドバイスすることもあるけれど、講義ではあまり特定の企業の問題点を掘り下げるよりも、メディア・ビジネスの構造について理解してもらうことにしている。
ただ、ここまで騒ぎになると気になると思うので、今日はちょうど先日訴訟のあった件について見てみよう。
(スクリーンで記事とプレスリリースを紹介)
「DeNAがゲーム制作会社に圧力をかけた」ということで、10億以上の損害があったということだ。もちろん、DeNAは反論するだろうし、どちらに理があるかはこれだけの情報ではわからない。
ただし、1つの疑問と仮説を立てることができる。
競合どうしが、有力パートナーを「囲い込もう」と競い合うのは以前からよくあることだ。かつてのゲーム業界もそうだった。ただし、どうして訴訟までするのか。
それが、疑問。
それに対しての仮説は「企業としての危機感、あるいは焦り」があるんじゃないか?ってことなんだ。現時点ではかなりの高収益だけど、決していつまでも続くものではない――
それは第三者が指摘するまでもなく経営者が一番よく分かっているのだろう。だからこそ強硬姿勢をとらざるを得ない、ということだと思う。
(四半期決算などを紹介)
まあ、そうした収益の問題よりも私が一番気になったことを一つ指摘しておこう。それはグリーの社長が記者会見で言った言葉だ。
「ソフト会社などは報復を恐れて表には出ないが、違法行為はその後も続いていると認識している。」
この「報復」という言葉だけれども、普通のビジネスの世界では使わない。私は仕事している時に、使った記憶がない。よしんば内輪で使ったとしても、上場企業の経営者が公の記者会見で使う言葉ではない。(少なくても「不利益」という単語で意味は伝わる)
じゃあ、どういう『業界』の方が使うのか。それは敢えて言わない。ただし、そういう言葉なのだ。
つまり、こういう”経営者の言葉”には敏感になった方がいいと思うんだ。決算数字よりも、大切な情報があるかもしれないから。
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以上の内容は、昨年の11月22日に大学の講義(統合マーケティング特論・メディアプランニング)で話したことの抄録だ。
いろいろと話題になっていることもあるので、自分なりに感じていることを書いておこうと考えて、思い出しながらまとめてみた。
この業界のもう少し「素朴な疑問」についてはこちらのエントリーに。