先日、居酒屋チェーンの社員が過労死した裁判の後で「日本のブラック企業の進化」が話題になった。話題になったこちらのブログでは日本社会の同調圧力に注目していたけれど、僕はちょっと別の面からこのことが気になっている。
それは、日本人とりわけ若い人の「感謝欲」が過剰になっているのでは?ということだ。
人間の動機にはいろいろな分類があるんだけど、僕は就転職の相談などを受ける時に、特に2つの「欲」を気にする。それは「賞賛欲」と「感謝欲」だ。
前者はわかりやすいだろう。人から「すごい!」と言われたい欲求だ。これは「目立ちたがり屋」であり、人から喝采を浴びることを望む。
一方で「感謝欲」というのは、人から「ありがとう」と言われたいという欲求だ。つまり人のために尽くす人が多く、まあ一般的は「いい人」である。ただ、キャリア研究ではこれを「感謝欲」と捉える。意地悪なようだが、結局人に尽くすというのも自己の欲求を満たしている、と考えるのである。
さて、この「感謝欲」が強い人は、使う方から見れば便利だ。起業したオーナー社長などは「賞賛欲」に「影響欲」が加わったタイプが殆どだと思うが、これがとりわけサービス産業だとどうなるか。
そう「感謝欲」の強い社員は重宝なのである。
そして感謝欲の強い人は、「ありがとう」といわれると、モチベーションが上がる。そして、さらに頑張る。接客業もそうだが、福祉や介護、あるいは保育などの現場でもよく見られる。「お客からの笑顔で疲れが吹っ飛ぶ」という人もいる。
しかし、それが危険なのだ。
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2012年02月アーカイブ