2012年02月アーカイブ

以前、就活を巡るエントリーで慶大生のことを「ゴキブリ」に喩える話を紹介した。ワラワラと人気企業に群がってきて、しかも落そうにも結構しつこい。これは、僕の学生時代から言われていた。
その一方で、慶応の学生は就活戦線で一定の強さを持っていることも事実だ。それは「根拠ない自信」によるものだと思っている。
「根拠のない自信」は、悪いことのように言われる。たしかにそういう人とはあまり付き合いたくない。しかし、それが必要な時もあって、その代表が就活の時期なのだ。
「根拠のない自信」は、「仮免」のようなものだ。若いうちから、「真の自信」を持つことは難しい。だって、経験が浅いのだから。だから、仮免によってとりあえずの自信を持つことは、実は大事なことなんだと思う。
問題は、その仮免のままで人生を乗り切ろうとして、たまたま40代まで来てしまったような人であって、これはたしかに困る。でも、「根拠のない自信」を手にいれらないまま、潜在能力を活かせない学生も多い。これは、もったいない。
よく理由はわからないのだけれど、慶応で学生生活を送っているともれなく、とは言わないがかなりの確率で「根拠のない自信」を得ることができるようだ。自分もそういう感覚を持っていた。その理由はわからない。また、その奇妙な自信は外部から見ると妙だとも思う。
ただひとつ、大切なことはまさに「根拠がない」ということではなかろうか。
偏差値の高さとか、そういう根拠はかえって脆いと思うのだ。

>> 慶大生の伝統芸「根拠のない自信」の続きを読む



187-lion communication.png

「人気企業ランキング」も発表されて、就職戦線も本格化してきた感じだ。 で、相変わらず企業が選考で重視する要素は「コミュニケーション能力」で、これは経団連のアンケートから来ているんだけど8年連続で1位なのである。 でも、どうしてそんなにコミュニケーション能力を求めるのだろうか。これは、新刊「世代論のワナ」でも論じたのだけれど、結構単純な理由だと思っている。 それは「今の会社員のコミュニケーション能力が低いから」というのが一番の原因なのだ。もちろん、事業ドメインの組み換え、「村」的職場の減少、グローバル化などもあるけれど、結局は「現時点での社員のコミュニケーション能力が低い」ことが問題になって、それで学生に求めているのだと思う。 少なくても「今の学生はコミュニケーション能力が低いから」という理由ではない。 それは、企業のいろいろな年代の人と付き合えばすぐに分かる。 だって、もっともコミュニケーション能力がに問題があるのは、まず経営陣なんじゃないか。アンケートを公表している経団連は、自分たちのトップのコミュニケーション能力をどう思っているのだろうか。 ていうか、何か彼らからの発信で心を動かされたことあります? ちなみに前会長はこのたび、自社の社長に収まったわけだけど、「コミュニケーション能力」のある人々が周囲にいたんだろうか、とか思うわけですよ。 「じゃ、オレがもう一回やるから」 「……」 まあ、そんなわけでしょきっと。 昨年後半に話題になった、不祥事の老舗企業の経営陣はどんなコミュニケーション能力を持っていたのやら。。 一方で、研修などでプレゼンテーションのことが課題になることは多いけど、若い人よりも問題はマネージャークラスじゃないかと。彼らのコメントが「訓話」の域を出なかったり、どこかの記事のコピペだったりするのを見るとトホホ感が漂う。 そして、そういう社員が多いほど、学生にコミュニケーション能力を期待していて、それが空回りしていたりする。「いい学生が採れない」と言って、選考方法を変にいじってみたり。それで「学生の質が落ちた」とか。 違うのだ。いい学生はそういう困った会社に行かなくなっているのですよ。 というわけで就活中の学生は無理にコミュニケーション能力を上げようなんて思わないでいい。とりあえずアドバイスするとすれば「友達と徹底的にマジメな会話」をし続けること。それを続けられれば、大人との面接でも普通に話せるはずだ。 それが「コミュニケーション能力」なのである。 ■このあたりのテーマも含めて一昨日の日経朝刊で新刊「世代論のワナ」が紹介されました。