「博報堂を辞めました」という文章を読んだ。自分も同じ経験をしているのだけれど、経緯を書いたことはない。というか、辞めた頃に理由を聞かれるのだが、講演会向け、友人向け、得意先向けとかいろいろ言っているうちに、わかんなくなっちゃったのだ。まあ、理由がいくつかないと大きな決断はできないんだけど、段々と辞めた理由を忘れている気もする。
だから、ああやって宣言できるのって何かすごいなとか思う。ただ、途中の「エリート街道」というのは思わず苦笑した。博報堂がエリートかどうか、とかそもそも現代においてそんな街道があるのかという突っ込み以前に、あの言葉を一人称で使ったのは初めて見たからだ。
そのことはともかく、件の文は「肩に力が入った」感じで、それは一般的に褒め言葉ではないのだけれど、でもいろんな意味で読み手を黙らせるものがあった。それは、真摯にものを考えた人ではなくては、書けない文だからだろう。
それにしても、「博報堂を辞めました」って、妙に語呂が良くって「電通を辞めました」だとなんか違うな、と思ったら「七五調」なんですね。だから、前に五文字つけて「古池や 博報堂を辞めました」でも「雀の子 博報堂を 辞めました」でも、ほらいけるでしょ。って全然いけてないけど。
「秋深き 博報堂を 辞めました」うむ、なんか妙にしみじみする。
もちろん語呂がいいから辞めたわけじゃないんだろうけれど、新平さん、広い海へようこそ。
2011年09月アーカイブ