2011年09月アーカイブ
どうしても気になることなんだけど、そもそも「生命と経済」って対立的に語られるものなんだろうか。
昨日、大江健三郎や坂本龍一らが「原発再稼働をやめて」と声明を出したという。あの惨状を見れば、そう考えることが特段偏った考えではないと思うのだけれど、記事にあったこの一節が気になる。
「経済活動を生命の危機より優先すべきではない」
経済=お金であり、経済学=お金の学問のように考える人がまだ多いのかもしれない。しかし、経済というのは人の生命を支えるために存在し続けるものだ。
電力が不足すれば、たしかに経済活動は停滞する。しかし経済の停滞は、決して生命を救わない。リーマン・ショック後に、どのようなことが起きたかを思いだせばすぐわかる。
放射能の影響を最も受けるのは、子どものような弱者だ。しかし経済停滞で影響を受けるのも、また弱者である。
そういう想像力、というか常識が欠落したまま「経済か生命か」という誤った二項対立が流通している。そのままでエネルギー問題は前進しない。そのことをまず共有しなければ、何も進まないのに極端な意見が好まれる。安全で安定した生活を望む人にとって、本当の敵がどこにいるのかを考える時だと思う。