ブランディングの極北「まいばすけっと」
(2011年8月8日)

カテゴリ:マーケティング
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かなり前に書こうと思って、そのままになっていたんだけれど、「まいばすけっと」を見ると、何とも感慨深い気分になる。
いや、店がどうとか品揃えがどうとかじゃなくて、あのロゴだ。
最近、自宅近くにできた。イオンの都市型小型スーパーということは中に入ればすぐわかる。
イオングループの一業態なのだけれど、なんだろう、この不思議な感覚は。
多分ロゴなんだと思う。でも、こうやってまいばすけっとって内蔵フォントのロゴにしてみても、あまり変わらない。というか既存のフォントなんだろうか。
 脇にちょっと小洒落た看板があるけれど、その絵だって何かのテンプレートに見えないこともない。
 かつて、と改めて大げさに言うけれど、ネーミングとロゴ、シンボルはブランドの核だった。というか、広告代理店やデザイナーにとってはそういう定義であった。
「ブランドの核なのだから、お金と時間をかけましょう」というロジックが大切だったからである。
 個人的にはそういう仕事を世紀の変り目にいくつ関わってきたけれど、この「まいばすけっと」ってどうやってロゴ決めたんだろうか。企画書にそういうフォント作ったまま、看板になったのかな。


 「消費者はモノに金を払うのではなく、ブランドのロゴやマークに価値を見出す」
そう言う人もいた。そうなのかもしれないけれど、今日もまいばすけっとは十分賑わっている。
出店計画を見ても、かなりの勢いだ。そもそも、この店舗は個人商店・地元スーパー・コンビニという複数業態の顧客をターゲットにできる。そのためには好立地が欠かせないが、現状の不動産市況とイオンの資金力を考えれば、かなりの勢いで展開が可能だろう。

でも、ロゴはきっとあのままだ。
そして、消費者はロゴではなくモノを買う。
それはセゾンが破綻した頃にみんなわかっていたのに、業界人の一部は何となく目を逸らしていた。その一部が、今でも経営に関わっていたりするからホント若い人は大変なんだろうけど、まいばすけっとは増えていく。あのロゴとともに。

これは、「ブランディングの極北」だと思う。頂点、ではない。極北だ。たしかに図抜けている。ただし頂点にあるものは仰ぎ見られるが、極北は誰からも仰がれない。
それをフラット化というのか、単にちょっと寒いということなのか。まだ、わからない。