震災とトヨタとサントリー。
(2011年4月20日)

カテゴリ:マーケティング
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今日は、まずCMを見てもらう。まず、60秒のものを2本だ。
【サントリーの企業広告を視聴。「上を向いて歩こう」と「見上げてご覧夜の星を」アクセスしたホームページはこちら
これは、かなり話題にもなったし、オンエアもあったようだから見た人も多いだろう。震災後に、震災を意識して制作したCMとしては最も注目されたクリエイティブだし、仮に震災と関係なく視聴したとしても、大変優れたものだと思う。
さて、震災後に作られたCMをもう1つ見てみよう。
【トヨタの企業広告を視聴。「トヨタからのお知らせ」より「地震発生時の運転」「エコドライブのお願い」「停電時の運転」などを視聴。アクセスしたホームページはこちら
トヨタのCMもまた震災後に作られたものだ。これはサントリーのものに比べると、話題性は少ないかもしれない。ただし、震災後の余震、停電、あるいは燃料不足という事態に対して的確な情報提供を試みている。
今日は、まず「メディアとは何だろう?」ということを考えたい。その際に、この2社のCMはとてもいいヒントになる。2社とも震災の後に、メディアのことを考えていたということがわかる。
メディアというのは、訳せば「媒体」ということなんだろうけれど、まずは「間」であると覚えておいてほしい。辞書を見ればmediumの複数形だということがわかる。
「何か」と「何か」の間である。だから、その「何か」が二つ以上なければメディアは成立しない。
マーケティングにおいて、その「何か」は企業であり、消費者という構図が基本だ。もちろん、消費者同士にも「間」はあり、メディアはあるんだけれど、それについては追って話をしよう。


歴史的に考えると、企業が、自分と消費者の「間」に注目することでマーケティングは進化した。そういった意味では、店頭も「間=メディア」だし、商品そのものもメディアということになるよね。
ただし、今回のような震災が起きると、企業は商品の供給すら厳しくなる。そういう環境でも、人々に何か伝えようとする時には、一般的な意味での「メディア」をどう活かそうかと考えることになる。ネットとか、テレビとか。
それにいち早く気付いた企業がトヨタであり、サントリーだったんだろうと思う。企業として、震災後の日本人のことを考えたからこそ、企業と人の「間=メディア」に注目した。それを、単に「広告がうまい」で片付けてはいけない。
それは企業活動の本質だと思うんだ。
なぜなら、企業は、世の中で生きている無数の人々の気持ちを想像しなくてはいけないのだから。
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上記文章は昨日(2011年4月19日)に青山学院大学経営学部マーケティング学科「メディア・プランニングⅠ」の講義で話した内容の抄録です。