夏の停電は回避できないのか?
(2011年3月18日)

カテゴリ:マーケティング

コメント(1)
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今回の震災は「複合大震災」という感じになっている。現時点では「被災地救援」「原発保全」「停電対応」の3つが同時に動いている。どれか一つだけでも大ごとなのだから、これが3つ起きているというのは、戦争以外では空前の事態だと思う。
原発は予断を許さないが一定の収束があれば、という前提で考えると今後は「被災地復興」「原発処理」ということになって課題の局面は変わるのだが、実は「停電対応」というのが、もっとも長期化する可能性があり、かつ前例もなく生活や経済へのインパクトも大きいのではないだろうか。
現在の報道は明日、どころか「今日の停電」を伝えるくらい「目の前のこと」で精一杯で、それもまた仕方ない面もあるのだが、たとえば今夏にもまた停電になる可能性は十分に高い。そのあたりの状況をちょっと見ておこう。
まず、図表は電気事業連合会等のHPから抽出したデータを基に作った。これは東京電力管内の「最大電力」の変化である。電力は蓄積できない。したがって、このピーク時の電力を確保することが重要になる。それが刻々と変化するので昨日のように「今日は寒いからやばい」みたいなことになる。
寒いのは朝からわかっていたはずなのだが、停電慣れしていない東電も日本人も対応が後手に回ってしまう。
この最大電力は夏に発生する。かつては冬がピークだったのだがエアコンの普及で1970年頃に「夏ピーク」がその年の最大電力になった。したがってグラフの数値はすべて夏季に記録したものである。
「電力が足りない」と聞いたことは多いだろうし「節電のお願い」もたしかによく聞く。ところが一方で「オール電化」というキャンペーンもあって、電力会社の姿勢はたしかに矛盾しているように思えるだろう。しかし、電力会社はそもそも矛盾を抱えている存在なのだ。


基本的には「電気を使ってもらう」ことで経営が成立する。しかし「最大電力」を上回る発生が一瞬でも起きると大停電につながる可能性がある。そうなると基本的には「使ってほしい」のだけれども、「ここぞという時には使ってほしくない」ということになるのだ。
これは「健康のために吸い過ぎに注意」というたばこ産業よりも、はるかにややこしい矛盾である。
で、実際の最大電力だがグラフを見てもわかるとおり右肩上がりではない。ピークは2001年の6430万kwだが、その後はそれを上回っていない。2009年には5449万kwまで低下して、猛暑の昨夏も5999万kwである。
実は、リセッションや電力自由化などによって「東京電力への需要」は決して伸びてはいない。それもあって「オール電化」のような総需要拡大策をとらざるを得なかったのだが、今回の供給不足で矛盾が噴出してしまったのだ。
福島原発以外に地震で停止した火力発電所が回復すれば、春先の消費電力は供給できるだろうが、今夏の供給不足はまず起きるだろう。
ただし、「ヤシマ作戦」以外にもいろいろと手段は考えられるし、実は電力需要が伸びない可能性もある。いずれにせよ、現下の対応を考えると同時に中期的展望を考える必要がある。
被災していない者として、そのあたりのことを「震災後の生活と新たな機会」と題してリポートにした。こちらのページからご覧いただける。粗削りだが、こういう時は「ひとりシンクタンク」の方が「とりあえずの機動性」が出せるのだ。



夏の停電は回避できないのか?」への1件のフィードバック

  1. ゆうじんじ より:

    当社でも東京事務所は、水曜から金曜まで自宅勤務にしました。放射能云々よりも、お客様が休みで電車も動かない中、会社に来ても効率が悪い、という観点です。GoogleAPPsのありがたみを痛感した3日間でした。

    「ワーク&ライフスタイル」の変化という意味では、よりクラウド化という観点も今以上に進むのではないかと思います。実際ケータイメールは遅延してもTwitterは更新されるし、どうもアプリの使い勝手の差を見ても、AndoroidOSは脱ケータイメールを前提に創られているなぁと最近機種変して感じることも多いので。