2010年12月アーカイブ

【書評】ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること
ニコラス・G・カー 篠儀直子訳
青土社
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「この本はネットを糾弾し、ネット以前の世界へ戻ることを推進する本ではないかという性急な推測が、タイトルだけを見た時点ではなされがちであるかもしれない。」
訳者あとがきで、このようなことを書かねばならないこと自体、この邦題は訳者にとって不本意だったのかもしれない。
この本のベースになった論文が”Is Google Making Us Stupid?”であり、これはまさに「グーグルでわれわれはバカになりつつあるのか」という感じではある。しかし、この本の原題は”THE SHALLOWS”だ。「浅瀬」という意味から転じて、「浅薄な」という意味合いの言葉だ。
タイトルの原題のことを長々書いても仕方ないと思うが、どうしても「ネット・バカ」という邦題で誤解されているような気もする。この本は。決してネットを糾弾するほんではないし、単純なメディア論でもない。
人は情報からどのような影響を受けてきたのか。その影響は、メディアの形態によってどう変わるのか?ということを問いかけている本である。
インターネットが人の思考自体を変えてしまうのか?というこの本の問いかけ自体は、自然なもののようであるが、あまり正面切って論じられてなかった。しかし、それを考えるのに「紙の本とウェブ」のような比較論自体が実は「浅薄」であることを、この本は教えてくれる。

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師走だ。
当然のように「毎年恒例」のなんだかんだが発表される。そして、とりあえずの「新語・流行語大賞」とか見ると、「これはもう止めた方がいいんじゃないか」という感じだ。だれが選んでいるのか、少なくても審査委員長が80歳近くで、しかも「読者審査員」というのも「現代用語の基礎知識」の読者というのだから、あまり文句をいうのも可哀そうかもしれない。
でも、最近の「新語・流行語大賞」のダメな感じというのは、審査の問題というより構造的な気もする。
そもそも、一覧を見ればわかるけれど本当に「流行語」と言えるものはほとんどない。
流行語というのは、フツーの人が喜んで使ってみる言葉のことだ。そういう意味では「なう」や「ととのいました」くらいは、まああるだろう。
あとは”ヒット商品”や”マスコミの多用語”が流行語に認定されているだけだ
「AKB48」や「食べるラー油」というのは単なる”ヒット商品”でしょ。「脱小沢」とか「無縁社会」なんて、メディアの中でしか使わない。
ちなみに、僕が考える「流行語」の条件というのは「ガキが喜ぶ」か「オヤジギャグ」になる、ということである。

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