この4ヶ月の電博では。
(2010年4月13日)

カテゴリ:広告など
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前期、つまり2010年3月期の総合広告代理店の決算が、空前の厳しさだったことは今さらでもないだろう。既に、かなり前からのそのような予測になっていた。
しかし、ここへ来て電通が決算を上方修正した。こ想像以上に出稿が戻っているということらしいが、そのあたりをちょっと見てみよう。参照している数字は、電通と博報堂の12月からの単月売り上げ推移の対前年比(両社とも単体)である。
この数字、消費市場の動向を見る上では結構面白いので、別に広告関係以外の人でも使えるところがある。4つのグラフは左上から、両社の総計、テレビ、マーケティング・プロモーション、そしてインタラクティブ(インターネット)である。一部表記は異なるが、この項目で比較してみよう。
結論から言うと、大逆風の悪天のマラソンだったこの1年、最後の35キロ辺りから電通が歯を食いしばって抜け出している風景が見えてくる。
まずトータルだが1月まで両社とも対前年比割れだったが、2月に久しぶりに電通が100%を超えている。そして3月は前年並み。博報堂はほぼ90%弱で推移。
最大の種目であるテレビは両社とも、不透明な感じで動いている。そして、テレビに次ぐ種目である「マーケティング・プロモーション」。ここで大きな動きがあった。この4ヶ月、電通は回復基調に乗っているのに対して、博報堂は80%を切るくらいの推移である。
実はこの種目の業績への売り上げへのインパクトは大きい。

2008年から既にマスメディアは厳しい数字だったが、このプロモーション関連が対前年比を上回っていたので、どうにかなっていたのだ。
それが2008年秋以降、プロモーションも大幅縮小になった結果、トータルで大きなマイナスになった。
プロモーションは広告主の収益動向に応じて機動的に支出されるので、市場環境の影響を受けやすいのである。つまりこの数字が回復すれば、広告市場ひいては消費市場全般がプラスに動いていく可能性があるのだ。
そういう意味で僕もこの項目はずっと気にしていた。
ところが今回は、電通にしか追い風が吹いていない。というよりも電通が既存のマス広告予算と異なるリソースを有する部署への営業を強化しているのではないかと思う。ちなみにインタラクティブは(グラフのY軸目盛りが異なるので注意)電通が極端な伸びを示している。
電通・博報堂ともに本体における売り上げ比率は5%以下でまだまだ少ないが、この差はどうしてなのか?
ネットも含めて「非マス」対応の営業フォーメーションに違いが出ているのか。
業界全般の動向を占う上で気になる数字ではある。