フリーランスなので年度が変わってどうなるわけでもないのだけれど、この4月はいろいろと節目だった。
このホームページ変えて、いろいろと新しい情報発信を試みた。
青山学院大学の講義は今年から3~4年を対象にしたもので、科目も「キャリア・ディベロップメント」から「マーケティング・プロフェッショナル実践」という、まったく違ったものになった。学生から見ると、淵野辺から青山に行ったら同じ人物が全然違う講義を始めているので?に思ったかもしれない。
5時限の講義で、中間リポートを多くしていたので履修者は少ないかと思っていたら、想像以上に多いようだった。昨日は第1回のリポートを共有する講義だったが、想像以上に面白い。学内のウェブを最大限に活用した講義の進行を想定している。
前期の後半は広告なども見ていこうと思うが、各社のホームページから見られるのでかなり色々な実践的展開ができそうだ。
後期は業界ごとのケーススタディをすることで、就職活動にも役立てるような構成にしようと思っている。
実はこの講義のテキストにする本は、現在進行形昨日ゲラが届いた。12日戻しかと思ったら7日と書いてある。連休は校正三昧になるかもしれない。ただ、このスケジュールじゃないと前期試験の前に余裕を持って発刊できないのだ。
今日から数日間は、休みをとって電波の届かないようなところにいる。しばらくはこちらの更新も休みにする予定。
「団菊爺」という言葉がある。「いや先代の団十郎や菊五郎は素晴らしかった」と、歌舞伎の昔語りをして「それに比べりゃ、今の連中は……」と嘆く爺のことである。明治あたりのことばらしいが、たしかにこういうのはどの世界にもいる。
落語で言えば「志ん生や文楽」で、クラシックなら「フルトヴェングラーやトスカニーニ」という感じだろうか。スポーツでもありそうだ。
こういうのって若い世代から見れば「また始まった」みたいなもので、適当にあしらわれつつ、老いていくのみ。せっかくだったら、いま眼の前で繰り広げられいている世界を楽しめばいいのに、と僕なんかは思う。
で、そういうファンの繰り言であればいいんだけど、結構ビジネス界にも「団菊爺」はいるものだ。そして、それは結構困ったことだったりする。
「いや、本当にあの人はサムライだった」
「やっぱクリエイターとしての生き方が違う」
とかいって、よく聞いてみると単に羽目を外した飲んだくれ営業だったり、女性関係にルーズで離婚を繰り返したデザイナーだったりする。単にセクハラ・パワハラ全開の、いわゆる「セパ両リーグ」を渡り歩いた困った人なのに。
そろそろ各社が内定を出している。学生から報告が来るだ。
青山学院では2006年から教えていた。この時の1年生が今年卒業したのだが、僕に相談に来た学生はいい結果を出している。相談に来た、というより「飲みに行きたい」と声をかけてきたような感じで、そのまま付き合いがあったような連中である。
その中で、短期留学をしたために1年卒業が遅くなった学生がいたのだが、彼も一昨日第一志望の企業から内定をとった。誰もが知っている世界的メーカーだが、今年の採用者数はかなり少ない。正直驚きつつもうれしかった。
今年は自宅近くのバーで会った学生の就活の面倒もみた。1人で飲んでいたら、話しかけられたのでそのまま相談に乗った。いくつかエントリーシートを見たり、指導したんだけれど彼も少々前にかなりいい結果を出して、さらに相当の人気企業で最終に進もうとしている。
自分の周りにいる学生はそんな感じだが、彼らの周辺は「厳しい」という。それが全体の傾向なのかもしれないが、どうも力を出し切れていない学生も多い。
では、どうして僕の周辺では結果が出ているのか。
傾向は単純だ。みんな、自ら僕にコンタクトしているのである。ホームページからのメールはオープンなので、「会いたい」といえばできる限り会う。バーで話しかけてくれば、どうにかしようかなと思う。
みんな自分で道を開いている。そういう学生が結果を出す、というのはいい傾向だし。やはり企業はよく見ている。
あと、もう1つ。彼らは就活中に企業に対して文句をいわない。妙に情報が多くなっているのか、企業側の姿勢をブツブツ言っている学生も多いようだ。そして、そういう学生に限って、自分勝手な学歴コンプレックスを持っていて「うちの大学ではエントリーしてもダメだから」とか言っている。そして仲間が結果を出してから、過ちを知る。
「自主的」「積極的」「人のせいにしない」書いてみると当たり前だけど、これは社会人としてのもっとも重要な要件であって、昔から変わらない。
僕も新卒一括採用の偏重には否定的な意見を持っているし、就活の早期化も弊害が多いと思っている。かといって学生におもねるような改革は必要ない。
つまり20歳を過ぎたら、自ら「ちゃんとしたやつ」になるべきなのだ。就活の原則は常に単純である。
マクロミルとヤフーバリューインサイトが経営統合の協議を始めたという。
統合や合併には「攻め」と「守り」のケースがある。「攻め」というのは、古くは新日鐵の誕生(イヤ本当に古くてすまない)や、トヨタがダイハツや日野などをグループ化していったようなケースだ。海外企業との競争力を向上させたり、短期間で製品バリエーションをそろえることが目的になる。
近年の日本では圧倒的に「守り」のケースが多い。「合併でもしなければ生き残れない」というわけで金融から百貨店、素材メーカーなどはこの手のケースの代表になる。
今回のリサーチ2社も「守り」の統合ということだろう。理由は2つある。
1つは昨年12月の決算数字が両社ともマイナスになっていることだ。(マクロミルは第2四半期)市場が縮小に向かっている中で効率化を進めたいということだろう。
もう1つの理由は、数字に出ていない問題が発生していることだ。
別にネット調査は信頼性が低い、ということではない。ネット調査の品質は年々向上して、安価でかつ一定の信頼のできるデータを入手できるようになった。
品質・価格・迅速性。これらを満たしているのに、なぜ問題なのか。何だか、書いているうちに当初の予定と気が変わったのだけれど、この業界、何だか今の牛丼屋業界と似てるんじゃないか。
日曜から一泊で修善寺に行っていた。その前にリポートをアップロードしようと思っていたのだけれど、今回は数字の分析があって、それ自体は単純なんだけどいろいろ確認しているうちに出かけてしまった。
とりあえずリポートだけはアップロードして、ブログは放っておいたまま出かけて、気がついたら大学の講義まで時間がある。ちょっと書き留めておこう。
不定期リポートの2本目は『「日本の広告費」をじっくり読む』。
電通発表のこのデータの2009年版は、「ネットが新聞を抜いた」ばかりが話題になってしまったが、これは今後の広告だけではなく、マーケティング、コミュニケーションさらには産業の将来までを考える上で示唆的なデータだ。
手法は単純で、いくつかの数値を2007年からの2年間比較で眺めてみた。ビジネスの構造変化が一層明らかになると思う。
興味のある方はこちらのページからごらんいただければと思う。