最も優れた人が組織のトップになるとは限らない。
これは疑問と言えばそうなのだが、歴史を見ていると「困った人がトップになる」ことの方がよっぽど多いような気がする。特に歴史の変曲点では「困った人があふれた時」に起きるので目立つかもしれない。
ただし現在において政治家はもちろん、経営者の中にも困った人は結構多い。とりわけメディアや広告の世界というのは元々閉鎖的なこともあって、経営者の言葉も内向きになりやすい。
最近もよく耳にする「経営者の言葉」の中で「これが出たらやばい」というのを3つほど挙げておこう。「まだそんなことを」と思うかもしれないが、結構根強かったりするらしい。メディア関係だけに限らないようだが。
◆現場主義
これほどわかったようでわからない言葉もない。「事件は会議室で起きてるんじゃない」という某刑事の言葉に若い人が共感したことを漏れ聞いたオジサンが慌てて言い出したようで、いまだに結構耳にする。
ただ、あえて「現場主義」を口にする経営者は「現場のことしかわからない」ことが殆どだ。マクロが苦手なだけなんだけれど、その反動で「戦略」とかを忌み嫌ったりするわけで。
◆時期尚早
判断不能な案件の決断に際して、最も便利な理由の言葉。これで見送られた案件を思い起こして悔しい思いをしているビジネスパーソンは結構多いんじゃないだろうか。
そもそも時期が「早いか遅いか」は、誰にもわからない。じゃあ「環境がどのように変化したら”尚早”じゃないんですか?」と尋ねれば言いのだろうけれど、それを聞くと経営者の能力がバレルので、みんなで遠慮しているんだと思う。
◆人間力
そもそも「人間」や「人」という言葉を多用する人はどこか怪しいと思っている。以前コピーライターの先輩が「人」という言葉を乱用するコピーが多いことを皮肉ってこう言った。
『「人」のところを「クマ」や「ネコ」に変えればいい。いかに意味がないかがよくわかる』
「クマ力向上」や「ネコ力が足りない」ということに何の意味もないように「人間力」には何の意味もない。
下手をすると、朝まで得意先に付き合っても翌朝早くから出勤してくることが「人間力」だったりするが、それは単なる「体力」だ。
合掌。