高齢化社会の景気はお天気次第かも。
(2014年9月16日)

カテゴリ:マーケティング

妻の実家まで、久しぶりにクルマで行った。3年ぶりくらいだろうか。名古屋の先の方で、東京から350キロあまりの距離だ。

年間1万キロは走っているので、それなりに日本の道路の状況はわかっているつもりだ。東海地区は久しぶりだったけれど、ここでも軽自動車は増えた。今回は新東名をフルに活用したが、思ったより飛ばしているクルマは少ない。愛知や岐阜の広い国道も、運転がおとなしくなった気がする。

マナーが変わったというより、ドライバーの高齢化が進んでいるんだろう。

追い越し車線を140キロ以上で抜かしていくクルマは、ドイツ車などが多いけれど、パッシングしたり右ウインカーを出しっぱなしで煽るようなクルマは減った。一方で相当すっ飛ばすプリウスを時に見かけるが、あれは暴走老人かもしれない。

で、幸い渋滞には巻き込まれず帰って来たんだけど、この三連休は相当人が動いたようだ。久しぶりの天気ということもあったと思うけど、高齢化が進むと「景気と天気」はより密接に連動していくとように感じている。

これは、自分がフリーになってから感じたのだけれど、「一日自分で予定を決める日」というのが結構増える。そうなると、天気が重要な要素になるのだ。好天なら、ちょっと自転車で遠出して昼飯探そうか?という気分になるし、雨だったら自炊する。

極端な寒暖の日は、行動範囲が狭い。日が長くなれば、5時過ぎには近くのスタンディングバーに行ってビールを飲むが、暗くなってから出かけるは億劫になる。

これは、退職後の生活感覚に似ているのだと思う。さらに時間があるのだから、「予定をこなす」ということに無理をしない。年寄り同士なら、集まりがあっても「今日は荒天だからやめよう」となるだろう。

ただし、会社員はそうはいかない。よほどの天候にでもならない限り、淡々と仕事は進む。大雪や台風など、よほどの天気でも休まない人がいるくらいだし。

今夏は西日本を中心に、相当の天候不順だった。7~9月のGDPという短期データが、消費増税という長期政策を左右する可能性もある中で、この天候は判断の際に相当にややこしい要素になっていくと思う。

日本ではサービス業の比率が増加して、特に飲食・レジャーでは高齢者のカネの使い方が大きく数字を左右する。ただし、彼らは(というか自分もそうだけど)天候で行動を変える率が高い。天気が悪ければ家の中にも楽しみはいろいろある。まさに「晴耕雨読」のようなものだ。

考えてみると、あまりにもパッケージ化されてきた戦後の消費パターンが変わるプロセスの1つなのだろう。それは晴耕雨読とはまったく逆だった。学校や会社の一斉休みに合わせて行動して、多くの遊びはカレンダーに拘束されて「こなすもの」になっていた。

経済状況がお天気次第というのは、日本の構造が脆弱だという感じもするけれど、人間の暮らしとしては、本来の姿だろうな、とも思う。一方で、国は相当長いこと働かせようとしているし、GDPを上げて増税というのが基本路線だ。

晴耕雨読が一番困るのは、徴税する側なのかもしれない。