内定者に愚痴るギョーカイの人事。
(2010年5月27日)

カテゴリ:キャリアのことも,広告など
タグ: ,
コメント(1)

就職戦線は厳しいと言うものの、学生によっては結構重複内定が多い。 知らない学生が、そんなことで相談のメールをよこして来ることもある。とある学生はXYZの三社から内定をとった。XとYは総合広告の上位で、Zは業態はやや異なるもののこちらも情報産業の雄である。 で、どこがいいだろうか?ということで大体学生の腹積もりは決まっているようだけど、会うことにした。 そこで聞いて驚いたんだけど、なんと内定後に採用担当者からこう言われたらしい。 「今年の広告業界志望の学生のレベルは低い」 わざわざ、どうしてそういうことを言うのか。Y社とZ社の担当はそう言ったと聞いて、思わず「その2社はやめたほうがいいだろ」と言いそうになったが、それが理由かはともかく、本人はX社に行くつもりのようだった。 しかし、これって、何なんだろうか。まず、採用担当として、というか社会人としてかなり傲慢なんじゃないか。これじゃ内定者だって、首を傾げるだろう。 それに、人気が低下したというなら、それは企業側の責任。ここで、内定者に八つ当たりしてどうするのか。 それより問題だと思うのは「学生のレベルが低い」と嘆く、人事担当者の気概のなさ。これには、驚く。 学生の質は、たしかに毎年微妙に変わる。しかし「今年のカツオの水揚げ」というような感覚なら、人事なんかやらない方がいい。魚は釣り上げた時点で価値が決まるが、人材は採用後にいくらでも変化する。 まっとうな会社なら、入社時の評価と20年後のそれを必ずしもきちんとトレースしているはずだ。そうすれば、入社時評価があてにならないことも理解しているだろう。 ちなみに、僕が見る限りこうした低下は特に感じない。まさか、と思うような逆転内定はどの業界でもなく、きちんとした企業にはそれなりの人材が集まっている。 そもそも内定者に、こうした話を軽々にするというのは他の業界では聞いたこともない。その上興味深いことに、こうした緩みは会社のパフォーマンスの反映のようで、人事の態度はXYZ三社の業績動向と奇妙な一致を見せるのだった。 ああ、怖い。



内定者に愚痴るギョーカイの人事。」への1件のフィードバック

  1. 笑鬼 より:

    呆れました。社会の扉を叩いたばかりの若者に、相対的な評価を口走ることで、何を語りたいのか、そちらの方に、逆質問したくなる。<魚は釣り上げた時点で価値が決まるが、人材は採用後にいくらでも変化する>は、至言で、その面接官本人さえ、そではなかったかと。人物評価をする人材にあたわずだ。数年来、その大手の会社社内から、聞こえて来るのは、「口は立つが、発想は立たない。批判はするが、代案を持っていない。他者を抑えるが、自分が率先しない。読書量は多いが、人の話は半分聞き。」六大学の出身が極端に少なくなって、カサカサしている共、金太郎飴状態が多いとも言う。取引先の方は、落ち武者然として、その逆で六大学出身。仕事の取り組み方、意見の組み立て方で、不具合が生じている。結局は、”業務取引”という扱い数字の前に、剣をを交えることを避けてしまうという。その結果が、広告表現の浅さを潜在購入の意欲を欠くことになり、市場がくすぶる。