先週話題になっていた日経の記事で『「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査』というのがあった。有料会員でなくても読めることもあり、話題になっていたようだけど、「そうだったのか!」というよりも、どこか引っかかる。
記事を整理すると、こういうことだ。
- ギャラップ社の調査では「熱意あふれる社員」は6%で、米国に比べて低い
- その上で「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%で、「やる気のない社員」は70%に達した。
- この傾向について来日したギャラップ社の社長にインタビューして、彼が言うには「部下の強みが何かを上司が理解すること」が大切、ということだった。
ギャラップというと世論調査のイメージが強いけれど、人事コンサルティング分野にも注力している。そして、EMPLOYEE ENGAGEMENTというサービスを提供しているのだが、このエンゲージメントの強さを見極めるための調査を各国で行っていて、その結果をもとに先のようなコメントになったのだ。
で、この調査だけれどQ12という12の質問からできている。いたってシンプルで、その内容は検索するとすぐに出てくる。たとえば、このページ。
もっとも、ギャラップのウェブサイトでも英語で見られるのだが、つまり「従業員の答え方」によって、相当変わる。実際の行動から「熱意ある社員」を引っ張り出してきたのではなく、調査で「判定」しているのだ。
さて、日本人はどう答えるか?というか、この質問に対しては、国民性も出るわけで「まあ、そこまでじゃないよな」という「照れ」のようなものがあれば控えめになるかもしれない。
たとえば「自分の会社の使命や目標は、自分の仕事を重要なものと感じさせてくれる」って、どう答えるかな?「 この半年の間に、職場の誰かが自分の進歩について、自分に話してくれた」というのも、どうなんだろう?
国民全体が自己啓発に溢れる米国とは、ちょっと異なる結果になりそうだ。あと、日本では「社畜」とかいう言葉が出るくらいで、高度成長時代の反動があり「会社と社員の距離」をおいた方がいい、という意識もあるんじゃないだろうか。
「日本人は」という国際比較は、みんな大好きなわりにその本質を突っ込んで議論することは存外に少ないと思う。たとえば「集団主義」についてもいろいろな研究がある。そして、そういう「日本人ってこうだよな」という自意識が調査にも影響するかもしれない。
今回のデータの出典が記事ではわからないが、少し古い、”State of Global Workplace”という2013年発表のレポートはギャラップからダウンロードできる。これだと日本の場合は先の三段階は、「7-69-24」で今回の記事とほぼ同じ。ちなみに中国は「6-68-26」だ。高い国はパナマの「37-51-12」やコスタリカの「33-53-14」となる。う~む。
そして、ちょっと気になるのは、このギャラップ社についてのことだ。
- 「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」だが、元のレポートでは”Actively Disengaged”だ。この日本語はどうなんだろうか。偶然なのか、僕はそういう人を殆ど見たことないが。
- ギャラップ社の商品にStrength Finderというものがある。つまり、先の社長の「強みを見つけよう」という発言はこの商品のプロモーションにも読める。ちなみに「ストレングス・ファインダー」という本の版元は日本経済新聞出版社だ
そもそも仕事において、あの調査で言われる「熱意」が必要条件なの?とか茶々を入れたくもなってくるんだけど。
「話半分」という、なんとも日本らしい言葉があるけれど、、この記事自体になんというか、「不思議なにおい」を感じるのだ。