2月はひどかった。というか、まだ折り返しなでこんなことを言うのも変だけれど、慌ただしくあっという間に過ぎている。
1月は、そうでもなかった。「1月は往く、2月は逃げる」とかいうけれど、そういうことじゃない。仕事のコントロールを、ちょっと間違えたのだ。
第2週の半ばに、大切なミーティングが続き、しかもそれぞれに結構な事前準備がいる。ところがあらかじめ決まっていた舞台や食事の予定もあったために、日中はパソコンの前でかかりきりになった。
そして、気が付いたら10日も過ぎている。
「時間がアッという間に経つ」
これは、大人にとっての大問題だと思う。まあ、いろんな説があるけど僕の場合はだいたい理由がわかってきた。今月のように「仕事をこなす」状況が続くと、あっという間に時は経つ。
詰め込まれた時間は、ゼリー飲料のようにズルズルと流れていく。それでも「当座は何かをやった」ことはたしかで、それはゼリー飲料のように「当座の十分な栄養とカロリーをとれた」のと同じだろう。
でも、それだけだ。そして、「時間がしっかり経つ」のはどういう時か?これは人によって異なると思うけれど、僕の場合は単純で「本をどれだけ読んだか」ということだと思う。
今年の1月は、新しく読んだ本が12冊で小説が8冊。ところが2月は10日までに2冊。
つまり、「本を読んでいる」時間の記憶はアタマの中の新しいところに作られていくような感覚だ。
この「新しい記憶」が充実していると、後から振り返っても「アッという間感」は少ない。このことは少し前から気づいていて、同じ本でも小説の方がより記憶が豊かに感じる。
なんというか「別世界体験」は、時間の流れをゆっくりにしてくれると思うのだ。
だから読書だけじゃなくて「初めての場所」に行った記憶も同じような効果があると思う。
旅行はもちろんだけれど、昼飯を食べたり散歩したりするときも、時間があればいろいろな歩き方をするけど、2月はそれもできなかった。
つくづく感じるのだけれど、「時間が経つのを早く感じる」ようにすることは簡単だと思う。毎日、何かをこなしていればあっという間に1週間が経ち、1年が過ぎて、一生が終わる。僕の場合は、旅と読書がそのスピードを減速させて、あたかも周囲の景色を見せてくれるようだけど、それは人それぞれだろう。
自分なりの「時の減速手段」を持っていないと、時間は加速する。あと、個人的にはツイッターのような「スクロール」は加速を激しくすると感じていて、あまり近寄らない。
それって、何か「読んだ気分」になるだけではないだろうか。
もっとも、本を読んだといっても、本当に自分の身に入っているのかはたしかに怪しい。ちなみに「読んでいない本について堂々と語る方法」という本があって、これは究極の読書体験を語っている。タイトルや見出しは「知ったかぶりのノウハウ本」のようだが、実際に読んでみると、これは本好きがたどり着いたある種の到達点だ。
ただし、山頂を極めるような到達点ではなく、路地裏の袋小路を極めたら知らない別世界があったという感じだ。
本が好き、という方ならぜひ一度をお勧めしたい。文庫本も出ているのに、レビューが単行本に集中しているのでご参照を。