音楽は好きだけれど、聴き方は相当保守的だと思う。いまだに、CD中心だ。これは、聴くジャンルの多くがクラシックだということがあるだろう。配信サービスの品ぞろえが当初はあまり良くなかったのだ。
その上、スピーカーでしか音楽を聴かないということもある。20代の後半くらいまではヘッドフォンを使っていたのだが、どうもある時から苦手になった。耳に辛いので、まったく使わない。だから家でしか音楽は聴かない。
そうなると、ipod以降のサービスとはあまり縁がない。
だから昨年くらいから話題になっていた定額配信サイトも見過ごす、というか聞き過ごしていたんだけれど、改めてspotifyを聴いてみたらクラシックが相当に充実していた。
spotifyの無料サービスには制約がある。そして、こういう制約はポピュラーを前提にしているのだろう。
まず、無料だとちょこちょこと広告が入る。ピアノ曲集なんかだとあまり気にならないけれど、シンフォニーだと楽章間に全部広告が入る。モーツアルトのレクイエムの一曲ごとに「第一興商」とか「ネットフリックス」とか賑やかになってしまう。
またスマートフォンだと、強制的にシャッフルになるようで、これもクラシックだと「勝手に楽章シャッフル」になるわけだ。
オペラとかだと、相当楽しいことになるんだろうけど。
ただし、PCやタブレットだとシャッフルにはならない。だから僕の場合は関係ないかと思っていたら、落し穴があった。PC・タブレットは月間上限が15時間なのだ。デバイスによって、リスナーの特徴を見切っているのだ。
というわけで、有料会員になった。
仕事中はパソコンにつなげたJAMBOXのスピーカーで聴き、リビングのCDプレイヤーにはDAC機能があるのでそちらにつなぐ。このシステムで、おなじ演奏をCDと比べたのだけれど、遜色ない。もちろん管楽器のアタックの鮮明さなどは違う時もあるけれど、ブラインドテストだったら分かる自信がない。
一応、リマスタリングされたSACDとかを持ち出して聴き比べればたしかに違う。ただし、これは「プロ選手がマジで子どもと喧嘩してる」ような状況で、相当に大人げない。
簡単にいうと、「もう、これでOKなんじゃないか」という感じだ。
アーチストも相当揃っていて、たとえばベートーヴェンのピアノソナタなら、バックハウス、ポリーニ、グルダがいる。
「ブルックナーは朝比奈隆以外認めない」とか言う人でなければ、十分だろう。
あと、バロック以前の古楽もしっかりしている。このカテゴリーは早朝や夜に聴きたくなるんだけど、知識もないしいまさらディスクもなあと思ってた。
もう、しばらくはspotifyに頼るだろう。
気になることといえば、「ソング」がMozartで、「アーチスト」がモーツアルトになり、「アルバム」がpiano concertoになるようなことだろう。他の配信サービスもポピュラー前提なので、こうなるのだ。
しかし、こうした定額ストリーミングは、音楽の聴き方、というか音楽とのつき合い方を根こそぎ変えていくのだと思う。そのことについては、また後日。