ヤマザキ春のパン祭りが始まっている。フランスでも有名で、皿を作る町が好景気に沸くとか、そもそもそんな話はないとか、まあそれはともかく、本当にどんな効果があるのだろうか。
ウィキペディアの「ヤマザキ春のパン祭り」はなかなかの力作で、それによればスタートは1981年だという。『ヤマザキにとって、春はパンの売り上げが伸びる時期であり、売り上げが伸びる時期に合わせてパンまつりを開催し始めた』とあるが、『ただし、今となってはパンまつりの効果で春に売り上げが伸びるのか、春なので売り上げが伸びるのかは不明である』と書かれている。(この辺りの記述はウィキペディア内に出典が記されている)
どうやらパン祭りは、高校生の頃から始まったのだが、なぜか個人的にはまったく縁がない。まあ、それはいいとして、本当にどのくらい売り上げが伸びるのかを調べてみた。
出典は総務省の家計調査だ。このデータは、よくテレビ番組でもネタになるが、その多くは都道府県別のデータのようで、「餃子日本一」とかその手のものは大体ここが出典だ。
で、この調査は結構いろいろ使い手があるのだが、今回は月次でパンの購入量を追ってみた。2015年も出ているのだが年報になっておらず、調べるのが面倒なので横着して、2013年と2014年でザックリ傾向を見てみたのがこのグラフだ。(数量で単位はグラム)
なんと、見事に3月にグイッ!と上がっている。
ちなみに、食パンと他のパンは数量ではほぼ同じで推移している。
たしかに、効果はあるのだろう。では、「そもそも春なので売り上げが伸びる」というのはどういうことだったんだろうか。
で、このグラフをよく見ると面白いことに気づく。3月をピークに6月くらいまでは結構いいのだが、夏から減って行って9月から2月くらいが底となる。ここから先は、ちょっとした推理の世界だが、「犯人」は誰なのか?
秋となれば、新米の季節。というわけで、最重要容疑者の「米」のデータを見ればよくわかる。米も夏場は低いのだが9月から上昇して10月にピークとなる。1月は、米もパンも低迷するが、おせち料理の季節だからなぁ。
なんか、実にわかりやすい。ちなみに赤丸をつけた2014年の3月にコメの需要が急伸しているのは、消費増税前の駆け込み需要の影響だろう。これは、パンには見られない。まあ、買いだめしないからね。
パンの需要は、パン祭り当初から比べれば随分伸びてきたと思うが、それでもまだまだ新米にはかなわない。だから、35年前にキャンペーンをするなら春になるのは必然だったと思う。
春はパンにとって一番のチャンスで、そこにパン祭りが定着して実需も伸びるようになって、その陰には米の存在があったわけだ。
お世話になったので、久しぶりにウィキペディアに寄附しておいたよ。