【音の話】料理をつくるときに聞く音楽。
(2016年1月11日)

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81-ogoiYaDL._SL1500_料理の時は、夕方のニュースをザッピングするのもいいけれど、音楽を聴きながらというのも結構楽しい。そこで、僕が料理中に聞く音楽を少し書いておこうと思う。クラシック限定だけど。

ロッシーニ「序曲集」~どんな料理でもいいテンポで手際よく

そもそも料理をつくるときは、深刻な曲や表現過剰な演奏は向かない。そう考えると、そもそもクラシックの多くは向いてないのだ。モーツアルトはよさそうだが、ちょっときれい過ぎて、ガチャガチャとしてキッチンで聴くにはちょっと違う。もちろんテンポ感は欲しい。となると、ロッシーニの出番となる。ヴェルディとなると全然違うわけで、調理というのは、基本的には即物的なのである。

考えてみると、ロッシーニはレシピも残しているくらいの美食家だったわけで、彼の音楽を聴きながら料理をつくるのは、いいと思うんだよね。

ディスクではアバドをよく効くけど、ロンドン響との盤はちょっとガサガサとしたが手仕事の生地のような魅力があり、ヨーロッパ室内管との演奏はより滑らかな肌触りだ。

曲目に重複があるけど、僕は両方とも持っていて気分で聴いている。

ストラヴィンスキー「春の祭典」~タマネギを炒めるならこれでしょ!

タマネギを飴色になるまで炒めることがたまにある。その時にかけるのは、これしかないと思っている。春の祭典の音の変容は、タマネギがしんなりとして、気がつくと小さく色づいていくプロセスにぴったり合う。演奏時間が40分くらいなので、一曲聴く間にちょうぢいい感じになるのではなるのだ。単調なタマネギ炒めに、千変万化のハルサイはちょうどいい組合せなのだ。ディスクには名演数々あるけれど、ブーレーズの旧盤か、ラトルの新録音を聴くことが多い。

タマネギ炒めについては、今では時短の裏技があるようなので、そちらに興味がある人には全く関係ない話ではあるけれど、

ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」~秋冬の煮物にはなぜかピッタリくる

秋になると、毎年芋煮鍋をつくる。また、今の時期は豚汁やけんちん汁を作り置きして朝食にすることも多い。家の近くに群馬野菜の直売店があって、そこへ行くと芋はもちろん、人参、大根などの根菜に加えてコンニャクなどもいいモノが揃うのだ。

そして、この手の煮物や汁物にはドヴォルザーク、しかもチェロ協奏曲がいい。信州の里山を秋にクルマで走っている時にもぴったりだけど、この作品の土の香りが合うんだよなあ。チャイコフスキーとなると、全然ちがって、どちらかというと酢豚や麻婆をつくるのにいいんじゃないかと。

ディスクについては、フルニエばかり聴いてる。バックはセルとベルリンフィルなんだけど、抑制が効いていて引き締まった感じが魅力。ロストロポーヴィチとかだと、知らぬ間に味が濃くなりそうだし、このくらいがちょうどいいのだ。

さあ、今日は何をつくろうか。