【今年気になること】銀座の能楽、新宿のバス、渋谷の気がかり。
(2016年1月5日)

カテゴリ:マーケティング
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というわけで、今年に気になることをタラタラ書いていこうと思うんだけど、まずは東京の街について。

五輪決定以降、東南の「引き」が強くなっているけれど、豊洲への市場移転もありこの傾向はまだ続くのだろう。そこに訪日旅行客が加わって、銀座の賑わいは続くのだろうが、そこに新たな施設ができる。春に数寄屋橋の東急プラザがオープンするが、本命は11月に予定されている6丁目の松坂屋跡地の再開発だだろう。(そのご工事の遅れなどもあり2017年春に開業となるらしい)

百貨店ではない商業施設で、1Fにはバスターミナルも備えるが、個人的に注目してるのが松濤から移転してくる観世能楽堂だ。観世流は最大の流派だし、都内能楽堂では断トツの立地となる。外国人客は今でも多いので、今後はさらに注目されるだろう。

そこで、個人的に注目しているのが「字幕」である。記事などでは「検討中」のようだが、おそらく導入するだろう。

現在字幕設備があるのは、千駄ヶ谷の国立能楽堂のみだけれど、これは相当助かる。歌舞伎だったら最近はどうにかわかるが、能は厳しい。詞章(台詞や歌詞)を手元に置きながら観る人も結構いる。外国人向けにはもちろん、日本人にとっても能に近づく好機だと思う。

オペラも字幕が普及してから、ファン層を広げていった経緯がある。立地も含めて「能ブーム」がじわじわ広がるかもしれない。

あと、新宿のバスターミナルも地味なようでインパクトが大きいと思う。中央環状の開通で羽田や成田との時間が短縮されたが、駅周辺の乗り場は分散していて待合室も少なく「難民キャンプ」状態だった。

新幹線が延伸しても、個人客を中心にバス需要は根強いし、中央本線沿いのように在来線特急しかないエリアはバスの人気が高い。なにより、全国から人が集まるという「玄関口」としての価値も高まるしオフィスタワーもあるので、賑わいは増すだろう。

一方で、心配なのが渋谷だ。2013年から比べるとJRの乗降客数は1割ほど減った。東横線の直通運転が理由だろうが、それ以上に街としての「間口」が狭くなっている。毎週一度は大学に行っているので感じるのだが、一定の歳になると多くの人はやってこない感じだ。それでも東急プラザやのれん街などには、中高年女性も多かったがそれもない。

東急は全般で見ると、二子玉川や武蔵小杉、たまプラーザなどの開発が順調のようだが、それらが「ダム」になっている。一方で、新宿三丁目の伊勢丹まで東横沿線の上顧客を送っているような感じだ。

渋谷は「若者の街」と言いつつも多彩な顔があったのだが、最近はハロウィンや年越しのように単に騒がしい街になっているように思う。人が多い割には消費単価も高くないので、店舗から見ると商業地としての魅力は低下する。また最近の調査の「山手線の雰囲気が好きな駅」という調査では上位の5つに入っていない。6位以下は書かれてないが、5位が池袋なのでそれよりも下なのだ。

渋谷にはネット系の企業が多く彼らの発信力は強いから、実態以上にメディアにおける存在感は強い。しかし、LINE本社が渋谷ヒカリエから新宿バスターミナルエリアのミライナへ移転するなど、そうした流れも変化していくかもしれない。

というあたりで、東京の「街間競争」は今後ますます激しくなると思う。

こちらの記事によれば「データによれば、渋谷は乗降客数では新宿の7掛けであるが、商業の販売額が新宿の5掛け程度でしかない。」とある。単価が低いことが推察される。